基礎問題集
数学A 確率「確率」の問題94 解説
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解説
方針・初手
条件 $X_{k-1}\leqq 4$ かつ $X_k\geqq 5$ は、さいころの出目が「$1,2,3,4$ 側」から「$5,6$ 側」へ移る瞬間を数えている。
ここで
$$ L={1,2,3,4},\qquad H={5,6}
$$
とおくと、$P(L)=\dfrac{2}{3}$、$P(H)=\dfrac{1}{3}$ であり、さらに $X_0=0$ は $L$ 側にあるとみなせる。したがって、「$L$ から $H$ への移動がちょうど1回起こる確率」を求めればよい。
解法1
ただ1回だけ起こる $L\to H$ の移動が $k$ 回目に起こるとする。
このとき、$k$ 回目より前に $L\to H$ が起こってはいけない。初期状態は $X_0=0$ で $L$ 側なので、$k$ 回目までに初めて $H$ 側へ移るためには、
$$ X_1,X_2,\ldots,X_{k-1}\in L,\qquad X_k\in H
$$
でなければならない。
その確率は
$$ \left(\frac{2}{3}\right)^{k-1}\frac{1}{3}
$$
である。
次に、$k$ 回目以後には $L\to H$ が起こってはいけない。$X_k\in H$ から始まって、以後 $L\to H$ を避けるには、しばらく $H$ が続いたあと、必要なら $L$ に移り、その後はずっと $L$ でなければならない。
つまり、$X_{k+1},\ldots,X_n$ は
$$ H^jL^{n-k-j}\qquad (j=0,1,\ldots,n-k)
$$
の形になる。ただし $H^j$ は $H$ が $j$ 個続くこと、$L^{n-k-j}$ は $L$ が $n-k-j$ 個続くことを表す。
したがって、$k$ 回目がただ1回の $L\to H$ である確率は
$$ \left(\frac{2}{3}\right)^{k-1}\frac{1}{3} \sum_{j=0}^{n-k} \left(\frac{1}{3}\right)^j \left(\frac{2}{3}\right)^{n-k-j}
$$
である。
これを $k=1,2,\ldots,n$ について足せばよい。
$$ P= \sum_{k=1}^{n} \left(\frac{2}{3}\right)^{k-1}\frac{1}{3} \sum_{j=0}^{n-k} \left(\frac{1}{3}\right)^j \left(\frac{2}{3}\right)^{n-k-j}
$$
ここで、積を整理すると
$$ \begin{aligned} \left(\frac{2}{3}\right)^{k-1} \left(\frac{1}{3}\right) \left(\frac{1}{3}\right)^j \left(\frac{2}{3}\right)^{n-k-j} &= \left(\frac{1}{3}\right)^{j+1} \left(\frac{2}{3}\right)^{n-1-j} \end{aligned} $$
であり、これは $k$ には依存しない。
$j$ を固定すると、$0\leqq j\leqq n-k$ より $k\leqq n-j$ であるから、そのような $k$ は $n-j$ 個ある。よって
$$ P= \sum_{j=0}^{n-1} (n-j) \left(\frac{1}{3}\right)^{j+1} \left(\frac{2}{3}\right)^{n-1-j}
$$
となる。
$t=j+1$ とおくと、
$$ P= \sum_{t=1}^{n} (n-t+1) \left(\frac{1}{3}\right)^t \left(\frac{2}{3}\right)^{n-t}
$$
である。これを整理する。
$$ \begin{aligned} P &= \left(\frac{2}{3}\right)^n \sum_{t=1}^{n} (n-t+1)\left(\frac{1}{2}\right)^t \end{aligned}
$$
ここで
$$ \begin{aligned} \sum_{t=1}^{n} (n-t+1)\left(\frac{1}{2}\right)^t &= (n+1)\sum_{t=1}^{n}\left(\frac{1}{2}\right)^t \\ \sum_{t=1}^{n}t\left(\frac{1}{2}\right)^t \end{aligned} $$
である。
また、
$$ \begin{aligned} \sum_{t=1}^{n}\left(\frac{1}{2}\right)^t &= 1-\frac{1}{2^n} \end{aligned} $$
であり、
$$ \begin{aligned} \sum_{t=1}^{n}t\left(\frac{1}{2}\right)^t &= 2-\frac{n+2}{2^n} \end{aligned} $$
である。したがって
$$ \begin{aligned} \sum_{t=1}^{n} (n-t+1)\left(\frac{1}{2}\right)^t &= (n+1)\left(1-\frac{1}{2^n}\right) &=
\left(2-\frac{n+2}{2^n}\right)\\ &= n-1+\frac{1}{2^n} \end{aligned}
$$
となる。
よって求める確率は
$$ \begin{aligned} P &= \left(\frac{2}{3}\right)^n \left(n-1+\frac{1}{2^n}\right)\\ &= \frac{(n-1)2^n+1}{3^n} \end{aligned}
$$
である。
解説
この問題の本質は、出目そのものを直接扱うのではなく、$1,2,3,4$ を $L$、$5,6$ を $H$ とまとめて考える点にある。
条件は「$L$ から $H$ への移動がちょうど1回」という意味である。最初は $X_0=0$ なので $L$ 側から始まる。したがって、ただ1回の $L\to H$ が起こるまではすべて $L$、その後は再び $L\to H$ が起こらないように、$H$ が続いたあと $L$ が続く形しか許されない。
この構造を押さえると、単なる場合の数ではなく、出目の列を $L,H$ の列として整理できる。
答え
$$ \boxed{\dfrac{(n-1)2^n+1}{3^n}}
$$