基礎問題集
数学A 確率「確率(反復試行)」の問題7 解説
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解説
方針・初手
$a_k$ は二項分布の各項である。隣り合う項の大小は比
$$ r_k=\frac{a_{k+1}}{a_k}
$$
を調べれば判定できる。したがって、まず $r_k$ を具体的に計算し、その後 $r_k$ が $k$ に関して単調減少することを用いて、$a_k$ の増減を決める。
解法1
まず、$0\leq k\leq n-1$ に対して
$$ a_k={}_nC_kp^k(1-p)^{n-k}
$$
であるから、
$$ \begin{aligned} r_k &=\frac{a_{k+1}}{a_k} \\ &=\frac{{}*nC*{k+1}p^{k+1}(1-p)^{n-k-1}}{{}_nC_kp^k(1-p)^{n-k}} \\ &=\frac{{}*nC*{k+1}}{{}_nC_k}\cdot \frac{p}{1-p}. \end{aligned}
$$
ここで
$$ \begin{aligned} \frac{{}*nC*{k+1}}{{}_nC_k} &= \frac{\frac{n!}{(k+1)!(n-k-1)!}}{\frac{n!}{k!(n-k)!}} \\ \frac{n-k}{k+1} \end{aligned} $$
である。よって
$$ r_k=\frac{(n-k)p}{(k+1)(1-p)}
$$
が成り立つ。
次に、$k=1,2,\dots,n-1$ に対して $r_{k-1}>r_k$ を示す。
上で求めた式より、
$$ \begin{aligned} r_{k-1} &= \frac{(n-k+1)p}{k(1-p)},\qquad\\ r_k &= \frac{(n-k)p}{(k+1)(1-p)} \end{aligned} $$
である。ここで $p>0,\ 1-p>0$ なので、大小比較では正の共通因子 $p/(1-p)$ を除いてよい。
したがって、
$$ r_{k-1}>r_k
$$
は
$$ \frac{n-k+1}{k}>\frac{n-k}{k+1}
$$
と同値である。両辺の分母は正であるから、交差に掛けて
$$ (n-k+1)(k+1)>k(n-k)
$$
を示せばよい。左辺から右辺を引くと、
$$ \begin{aligned} (n-k+1)(k+1)-k(n-k) &=(n-k+1)k+(n-k+1)-k(n-k) \\ &=k+(n-k+1) \\ &=n+1 \end{aligned}
$$
であり、$n$ は自然数だから $n+1>0$ である。よって
$$ r_{k-1}>r_k
$$
が成り立つ。
次に、$i$ を $0$ 以上 $n-1$ 以下の整数とし、$r_i>1$ とする。すでに示したように $r_k$ は $k$ が増えるにつれて減少するので、$0\leq k\leq i$ に対して
$$ r_k\geq r_i>1
$$
である。
また
$$ r_k=\frac{a_{k+1}}{a_k}
$$
であり、$a_k>0$ であるから、$r_k>1$ は
$$ a_{k+1}>a_k
$$
と同値である。したがって、$k=0,1,2,\dots,i$ に対して
$$ a_k<a_{k+1}
$$
が成り立つ。
最後に、$n=100,\ p=\dfrac34$ の場合を考える。このとき
$$ 1-p=\frac14
$$
であるから、
$$ \begin{aligned} r_k &= \frac{(100-k)\cdot \frac34}{(k+1)\cdot \frac14} \\ \frac{3(100-k)}{k+1} \end{aligned} $$
となる。
$a_k$ が増加する条件は $r_k>1$ であるから、
$$ \frac{3(100-k)}{k+1}>1
$$
を解く。$k+1>0$ より、
$$ 3(100-k)>k+1
$$
すなわち
$$ 300-3k>k+1
$$
である。よって
$$ 299>4k
$$
となり、
$$ k<\frac{299}{4}=74.75
$$
である。したがって整数 $k$ については
$$ k=0,1,2,\dots,74
$$
のとき $a_k<a_{k+1}$ である。
一方、
$$ r_{75}=\frac{3(100-75)}{76}=\frac{75}{76}<1
$$
である。さらに $r_k$ は単調減少するので、$k\geq 75$ では $r_k<1$ である。したがって
$$ a_{76}<a_{75},\quad a_{77}<a_{76},\quad \dots
$$
となる。
以上より、$a_k$ は $k=75$ まで増加し、その後減少する。したがって、$a_k$ が最大となるのは
$$ k=75
$$
である。
解説
この問題の中心は、二項分布の各項 $a_k$ を直接比較するのではなく、隣接項の比 $r_k=a_{k+1}/a_k$ を使う点である。
$r_k>1$ なら $a_{k+1}>a_k$、$r_k<1$ なら $a_{k+1}<a_k$ である。さらに $r_k$ が単調減少するため、一度 $1$ を下回ると、それ以降はずっと減少する。したがって最大値を与える $k$ は、$r_k$ が $1$ をまたぐ位置から決まる。
$n=100,\ p=\dfrac34$ の場合は、$r_{74}>1$ かつ $r_{75}<1$ であるから、$a_{75}$ が前後の項より大きく、最大となる。
答え
**(1)**
$$ r_k=\frac{(n-k)p}{(k+1)(1-p)} \qquad (k=0,1,2,\dots,n-1)
$$
**(2)**
$$ r_{k-1}>r_k \qquad (k=1,2,\dots,n-1)
$$
が成り立つ。
**(3)**
$r_i>1$ のとき、$0\leq k\leq i$ に対して
$$ a_k<a_{k+1}
$$
が成り立つ。
**(4)**
$$ k=75
$$