基礎問題集
数学A 確率「数列・確率(数B)」の問題8 解説
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解説
方針・初手
現在いる部屋が $A_1$ であるかどうかだけに注目する。部屋 $A_1$ にいる確率を $p_n$ とおくと、次の移動で $A_1$ に入るには、直前に $A_1$ 以外の部屋にいて、そこから $A_1$ を選ぶ必要がある。
解法1
$n$ 回移動した後に部屋 $A_1$ にいる確率を $p_n$ とする。最初は部屋 $A_0$ にいるので、
$$ p_0=0
$$
である。
$n$ 回移動した後に $A_1$ にいる確率は $p_n$ であるから、$A_1$ 以外の部屋にいる確率は $1-p_n$ である。
$A_1$ 以外のどの部屋にいても、次に選べる部屋は現在の部屋以外の $k$ 個であり、その中に $A_1$ はちょうど $1$ 個含まれる。したがって、次に $A_1$ へ移動する確率は $\dfrac{1}{k}$ である。
よって漸化式
$$ p_{n+1}=\frac{1-p_n}{k}
$$
を得る。
これを解く。定数解を $p$ とすると、
$$ p=\frac{1-p}{k}
$$
より、
$$ (k+1)p=1
$$
であるから、
$$ p=\frac{1}{k+1}
$$
である。
そこで、
$$ \begin{aligned} p_{n+1}-\frac{1}{k+1} &= -\frac{1}{k}\left(p_n-\frac{1}{k+1}\right) \end{aligned} $$
となる。したがって数列 $p_n-\dfrac{1}{k+1}$ は公比 $-\dfrac{1}{k}$ の等比数列である。
$p_0=0$ より、
$$ \begin{aligned} p_0-\frac{1}{k+1} &= -\frac{1}{k+1} \end{aligned} $$
であるから、
$$ \begin{aligned} p_n-\frac{1}{k+1} &= -\frac{1}{k+1}\left(-\frac{1}{k}\right)^n \end{aligned} $$
となる。よって、
$$ \begin{aligned} p_n &= \frac{1}{k+1} \\ \frac{1}{k+1}\left(-\frac{1}{k}\right)^n \end{aligned} $$
である。
したがって、
$$ \begin{aligned} p_n &= \frac{1}{k+1}\left\{1-\left(-\frac{1}{k}\right)^n\right\} \end{aligned} $$
を得る。
解法2
部屋 $A_1$ 以外の $k$ 個の部屋は、確率を考えるうえでまとめて扱える。$n$ 回移動した後に $A_1$ にいる確率を $p_n$ とする。
各移動で、現在いる部屋以外の $k$ 個の部屋から等確率で選ぶので、$A_1$ にいない状態からは確率 $\dfrac{1}{k}$ で $A_1$ に移る。一方、$A_1$ にいる状態からは、次は必ず $A_1$ 以外へ移る。
したがって、
$$ \begin{aligned} p_{n+1} &= 0\cdot p_n+\frac{1}{k}(1-p_n) \\ \frac{1-p_n}{k} \end{aligned} $$
である。
ここで、
$$ q_n=(k+1)p_n-1
$$
とおく。漸化式より、
$$ \begin{aligned} q_{n+1} &=(k+1)p_{n+1}-1\\ &=(k+1)\frac{1-p_n}{k}-1\\ &=\frac{k+1}{k}-\frac{k+1}{k}p_n-1\\ &=\frac{1}{k}-\frac{(k+1)p_n}{k}\\ &=-\frac{(k+1)p_n-1}{k}\\ &=-\frac{1}{k}q_n \end{aligned}
$$
となる。
また、
$$ q_0=(k+1)p_0-1=-1
$$
であるから、
$$ q_n=-\left(-\frac{1}{k}\right)^n
$$
である。よって、
$$ \begin{aligned} (k+1)p_n-1 &= -\left(-\frac{1}{k}\right)^n \end{aligned} $$
となり、
$$ \begin{aligned} p_n &= \frac{1}{k+1}\left\{1-\left(-\frac{1}{k}\right)^n\right\} \end{aligned} $$
を得る。
解説
この問題では、$k+1$ 個の部屋すべての確率を個別に追う必要はない。求めたいのは $A_1$ にいる確率だけなので、「$A_1$ にいるか、いないか」の2状態に縮約するのが最短である。
注意すべき点は、$A_1$ にいるときは次に $A_1$ に残れないことである。したがって、$p_{n+1}$ は $p_n$ からではなく、$1-p_n$ から作る必要がある。
また、$k=1$ の場合も式は成り立つ。このとき部屋は $A_0,A_1$ の2つだけで、移動のたびに交互に部屋を移る。公式は
$$ p_n=\frac{1}{2}{1-(-1)^n}
$$
となり、$n$ が奇数なら $1$、偶数なら $0$ で、実際の動きと一致する。
答え
$n$ 回移動した後に部屋 $A_1$ にいる確率は、
$$ \boxed{\frac{1}{k+1}\left\{1-\left(-\frac{1}{k}\right)^n\right\}}
$$
である。