基礎問題集
数学A 整数問題「ユークリッドの互除法」の問題1 解説
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解説
方針・初手
(1)は、$a=pb+c$ から
$$ c=a-pb
$$
も成り立つことに注目する。したがって、$a$ と $b$ をともに割る整数は、$b$ と $c$ もともに割る。逆も同様である。
(2)は、漸化式
$$ a_{n+2}=6a_{n+1}+a_n
$$
を最大公約数に関する関係として見る。特に、$a_{n+2}$ と $a_{n+1}$ の最大公約数は、$a_{n+1}$ と $a_n$ の最大公約数に等しい。
解法1
以下では、公約数は正の公約数として扱う。整数全体で公約数を考える場合は、各集合に負の公約数も加えればよい。
**(1)(i)**
$a=18,\ b=30$ であるから、$18$ と $30$ の正の公約数は
$$ 1,\ 2,\ 3,\ 6
$$
である。よって
$$ S={1,2,3,6}
$$
である。
また、$b=30,\ c=-42$ である。$30$ と $-42$ の正の公約数は、$30$ と $42$ の正の公約数と同じなので、
$$ T={1,2,3,6}
$$
である。
したがって
$$ S=T={1,2,3,6}
$$
である。
整数の公約数を符号付きで考えるなら、
$$ S=T={-6,-3,-2,-1,1,2,3,6}
$$
となる。
**(1)(ii)**
$a=pb+c$ とする。
$d$ を $a$ と $b$ の公約数とする。このとき
$$ d\mid a,\qquad d\mid b
$$
である。
また、
$$ c=a-pb
$$
であるから、$d\mid a$ かつ $d\mid b$ より
$$ d\mid c
$$
が成り立つ。したがって、$d$ は $b$ と $c$ の公約数である。
逆に、$d$ を $b$ と $c$ の公約数とする。このとき
$$ d\mid b,\qquad d\mid c
$$
である。
$a=pb+c$ だから、$d\mid b$ かつ $d\mid c$ より
$$ d\mid a
$$
が成り立つ。したがって、$d$ は $a$ と $b$ の公約数である。
以上より、$a$ と $b$ の公約数全体と、$b$ と $c$ の公約数全体は一致する。したがって、それらの中で最大の正の整数も等しいので、
$$ M=N
$$
である。
**(2)(i)**
漸化式より
$$ a_{n+2}=6a_{n+1}+a_n
$$
である。
(1)(ii)を
$$ a=a_{n+2},\qquad b=a_{n+1},\qquad c=a_n,\qquad p=6
$$
として用いると、
$$ \gcd(a_{n+2},a_{n+1})=\gcd(a_{n+1},a_n)
$$
である。
よって、最大公約数は隣り合う項を1つずつ前にずらしても変わらない。したがって
$$ \gcd(a_{n+1},a_n)=\gcd(a_2,a_1)
$$
である。
$a_1=3,\ a_2=4$ だから、
$$ \gcd(a_2,a_1)=\gcd(4,3)=1
$$
である。
ゆえに
$$ \gcd(a_{n+1},a_n)=1
$$
である。
**(2)(ii)**
漸化式から
$$ a_{n+3}=6a_{n+2}+a_{n+1}
$$
である。したがって
$$ \begin{aligned} a_{n+4} &=6a_{n+3}+a_{n+2} \\ &=6(6a_{n+2}+a_{n+1})+a_{n+2} \\ &=37a_{n+2}+6a_{n+1} \end{aligned}
$$
となる。
また、
$$ a_{n+2}=6a_{n+1}+a_n
$$
より
$$ 6a_{n+1}=a_{n+2}-a_n
$$
である。これを代入すると、
$$ \begin{aligned} a_{n+4} &=37a_{n+2}+a_{n+2}-a_n \\ &=38a_{n+2}-a_n \end{aligned}
$$
である。
よって
$$ a_{n+4}=38a_{n+2}-a_n
$$
と表せる。
**(2)(iii)**
(2)(ii)より
$$ a_{n+4}=38a_{n+2}-a_n
$$
である。
これを
$$ a= a_{n+4},\qquad b=a_{n+2},\qquad c=-a_n,\qquad p=38
$$
と見ると、
$$ a=pb+c
$$
の形になっている。
したがって、(1)(ii)より
$$ \gcd(a_{n+4},a_{n+2})=\gcd(a_{n+2},a_n)
$$
である。
つまり、
$$ \gcd(a_{n+2},a_n)
$$
は $n$ を $2$ 増やしても変わらない。よって、$n$ の偶奇によって値が決まる。
まず、
$$ a_1=3,\qquad a_2=4
$$
であり、
$$ a_3=6a_2+a_1=6\cdot 4+3=27
$$
だから、
$$ \gcd(a_3,a_1)=\gcd(27,3)=3
$$
である。
また、
$$ a_4=6a_3+a_2=6\cdot 27+4=166
$$
だから、
$$ \gcd(a_4,a_2)=\gcd(166,4)=2
$$
である。
したがって、
$$ \gcd(a_{n+2},a_n)= \begin{cases} 3 & (n \text{ が奇数のとき}),\\ 2 & (n \text{ が偶数のとき}) \end{cases}
$$
である。
解説
この問題の中心は、$a=pb+c$ の形が最大公約数を変えないという事実である。これはユークリッドの互除法の基本原理と同じである。
(1)では、$a$ と $b$ の公約数が $c=a-pb$ も割ること、逆に $b$ と $c$ の公約数が $a=pb+c$ も割ることを示せばよい。
(2)では、漸化式をそのまま最大公約数の関係に使う。(i)では隣り合う項の最大公約数が一定であることが分かる。(iii)では、(ii)で得た
$$ a_{n+4}=38a_{n+2}-a_n
$$
を用いることで、2つ飛ばしの最大公約数が周期 $2$ で繰り返すことが分かる。
答え
**(1)(i)**
$$ S=T={1,2,3,6}
$$
整数の公約数を符号付きで考えるなら、
$$ S=T={-6,-3,-2,-1,1,2,3,6}
$$
**(1)(ii)**
$$ M=N
$$
**(2)(i)**
$$ \gcd(a_{n+1},a_n)=1
$$
**(2)(ii)**
$$ a_{n+4}=38a_{n+2}-a_n
$$
**(2)(iii)**
$$ \gcd(a_{n+2},a_n)= \begin{cases} 3 & (n \text{ が奇数のとき}),\\ 2 & (n \text{ が偶数のとき}) \end{cases}
$$