基礎問題集
数学A 整数問題「フェルマーの小定理」の問題9 解説
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解説
方針・初手
(1) は、素数 $p$ が ${}_{p}\mathrm{C}_{r}$ の分子に現れ、分母には現れないことを利用する。
(2) は、(1) と二項定理を使って数学的帰納法で示す。$n \mapsto n+1$ としたとき、$(n+1)^p-n^p$ の中間項がすべて $p$ の倍数になることが核心である。
(3) は、$p$ で割った余りと $q$ で割った余りをそれぞれ調べる。$p,q$ は異なる素数なので、両方で割り切れれば $pq$ で割り切れる。
解法1
まず (1) を示す。
$1 \leqq r \leqq p-1$ とする。このとき
$$ {}_{p}\mathrm{C}_{r}=\frac{p!}{r!(p-r)!}
$$
である。
分子 $p!$ には素数 $p$ が因数として含まれる。一方、分母 $r!(p-r)!$ に現れる数はすべて $1,2,\ldots,p-1$ 以下であり、どれも $p$ の倍数ではない。したがって、分母には素因数 $p$ は含まれない。
${}_{p}\mathrm{C}_{r}$ は整数であるから、分子に含まれる因数 $p$ は分母によって約分されない。よって
$$ p \mid {}_{p}\mathrm{C}_{r}
$$
である。
したがって
$$ {}_pC_1,{}_pC_2,\ldots,{}*pC*{p-1}
$$
はいずれも $p$ の倍数である。
次に (2) を示す。
すべての自然数 $n$ に対して
$$ p \mid n^p-n
$$
を数学的帰納法で証明する。
$n=1$ のとき、
$$ 1^p-1=0
$$
であるから、これは $p$ の倍数である。
ある自然数 $n$ について
$$ p \mid n^p-n
$$
が成り立つと仮定する。このとき、二項定理より
$$ \begin{aligned} (n+1)^p &= n^p+{}_{p}\mathrm{C}_{1}n^{p-1}+{}_{p}\mathrm{C}_{2}n^{p-2}+\cdots+{}_{p}\mathrm{C}_{p-1}n+1 \end{aligned} $$
である。
(1) より、${}_{p}\mathrm{C}_{1},{}_{p}\mathrm{C}_{2},\ldots,{}_{p}\mathrm{C}_{p-1}$ はすべて $p$ の倍数である。したがって
$$ \begin{aligned} (n+1)^p-(n+1) &= (n^p-n) + {}_{p}\mathrm{C}_{1}n^{p-1} + {}_{p}\mathrm{C}_{2}n^{p-2} +\cdots+ {}_{p}\mathrm{C}_{p-1}n \end{aligned} $$
である。
右辺の第1項 $n^p-n$ は帰納法の仮定より $p$ の倍数であり、残りの各項も (1) より $p$ の倍数である。よって
$$ p \mid (n+1)^p-(n+1)
$$
である。
したがって、数学的帰納法により、すべての自然数 $n$ に対して
$$ p \mid n^p-n
$$
が成り立つ。
最後に (3) を示す。
示すべきことは
$$ pq \mid n^{(p-1)(q-1)+1}-n
$$
である。
$p$ で割り切れることを示す。指数を
$$ E=(p-1)(q-1)+1
$$
とおく。
**(i)**
$p \mid n$ のとき
このとき $n$ は $p$ の倍数であるから、$n^E$ も $p$ の倍数である。したがって
$$ n^E-n
$$
も $p$ の倍数である。
**(ii)**
$p \nmid n$ のとき
(2) より
$$ p \mid n^p-n
$$
である。ここで $p \nmid n$ なので、合同式で書けば
$$ n^p \equiv n \pmod p
$$
の両辺を $n$ で割ることができ、
$$ n^{p-1}\equiv 1 \pmod p
$$
を得る。
いま
$$ E=(p-1)(q-1)+1
$$
であるから、
$$ \begin{aligned} n^E &= n^{(p-1)(q-1)+1} \\ n\left(n^{p-1}\right)^{q-1} \end{aligned} $$
である。よって
$$ n^E \equiv n\cdot 1^{q-1} \equiv n \pmod p
$$
となる。
したがって、いずれの場合も
$$ p \mid n^E-n
$$
である。
同様にして、$q$ で割り切れることも示す。
**(i)**
$q \mid n$ のとき、$n^E-n$ は $q$ の倍数である。
**(ii)**
$q \nmid n$ のとき、(2) を素数 $q$ に対して用いると
$$ n^{q-1}\equiv 1 \pmod q
$$
である。また
$$ E=(p-1)(q-1)+1
$$
より
$$ \begin{aligned} n^E &= n^{(p-1)(q-1)+1} \\ n\left(n^{q-1}\right)^{p-1} \end{aligned} $$
であるから、
$$ n^E \equiv n\cdot 1^{p-1} \equiv n \pmod q
$$
となる。
よって
$$ q \mid n^E-n
$$
である。
以上より、$n^E-n$ は $p$ でも $q$ でも割り切れる。$p,q$ は異なる素数であるから互いに素である。したがって
$$ pq \mid n^E-n
$$
である。
すなわち
$$ pq \mid n^{(p-1)(q-1)+1}-n
$$
が示された。
解説
(1) は「素数 $p$ は $1,2,\ldots,p-1$ のどれも割らない」という性質を使う典型問題である。二項係数が整数であることと組み合わせることで、分子に残る因数 $p$ がそのまま全体を割ることが分かる。
(2) はフェルマーの小定理の形であるが、ここでは (1) を使って二項定理と数学的帰納法で示すのが自然である。$(n+1)^p$ を展開したとき、中間項の係数がすべて $p$ の倍数になるため、帰納法が成立する。
(3) は、$pq$ で割り切れることを直接見るのではなく、$p$ で割り切れることと $q$ で割り切れることを別々に示すのが要点である。$p,q$ が異なる素数であるため、両方で割り切れれば積 $pq$ で割り切れる。
答え
**(1)**
$$ {}_pC_1,{}_pC_2,\ldots,{}*pC*{p-1}
$$
はいずれも $p$ の倍数である。
**(2)**
すべての自然数 $n$ に対して
$$ n^p-n
$$
は $p$ の倍数である。
**(3)**
すべての自然数 $n$ に対して
$$ n^{(p-1)(q-1)+1}-n
$$
は $pq$ の倍数である。