基礎問題集
数学A 整数問題「フェルマーの小定理」の問題10 解説
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解説
方針・初手
前半は二項定理と素数 $p$ の性質を使って、フェルマーの小定理
$$ m^p \equiv m \pmod p
$$
を導く流れである。
後半は
$$ 4n^2+4n-1=(2n+1)^2-2
$$
と変形することが核心である。$p\mid a$ なら
$$ (2n+1)^2\equiv 2 \pmod p
$$
となるので、これをフェルマーの小定理と結びつける。
解法1
**(1)**
$0<j<p$ より、$j$ と $p$ は互いに素である。
二項係数について
$$ j{}*pC_j=p{}*{p-1}C_{j-1}
$$
が成り立つ。右辺は $p$ の倍数であるから、左辺 $j{}_pC_j$ は $p$ の倍数である。
ここで $\gcd(j,p)=1$ である。したがって、積 $j{}_pC_j$ が $p$ で割り切れるためには、${}_pC_j$ が $p$ で割り切れなければならない。
よって、
$$ p\mid {}_pC_j
$$
である。
**(2)**
二項定理より、
$$ (m+1)^p=m^p+{}_pC_1m^{p-1}+{}_pC_2m^{p-2}+\cdots+{}*pC*{p-1}m+1
$$
である。したがって、
$$ (m+1)^p-m^p-1={}_pC_1m^{p-1}+{}_pC_2m^{p-2}+\cdots+{}*pC*{p-1}m
$$
となる。
(1)より、$1\leq j\leq p-1$ に対して ${}_pC_j$ はすべて $p$ で割り切れる。したがって右辺の各項は $p$ で割り切れる。
よって、
$$ p\mid {(m+1)^p-m^p-1}
$$
である。
**(3)**
まず、すべての自然数 $m$ に対して
$$ p\mid (m^p-m)
$$
を数学的帰納法で示す。
$m=1$ のとき、
$$ 1^p-1=0
$$
であるから、$p$ で割り切れる。
次に、ある自然数 $m$ について
$$ p\mid (m^p-m)
$$
が成り立つと仮定する。このとき、
$$ \begin{aligned} {(m+1)^p-(m+1)}-(m^p-m) &=(m+1)^p-m^p-1 \end{aligned}
$$
である。
(2)より、右辺は $p$ で割り切れる。また、帰納法の仮定より $m^p-m$ も $p$ で割り切れる。したがって、
$$ (m+1)^p-(m+1)
$$
も $p$ で割り切れる。
よって、すべての自然数 $m$ に対して
$$ p\mid (m^p-m)
$$
が成り立つ。
さらに、$m$ が $p$ で割り切れないとする。このとき、
$$ m^p-m=m(m^{p-1}-1)
$$
である。
すでに $p\mid (m^p-m)$ が分かっているので、
$$ p\mid m(m^{p-1}-1)
$$
である。一方、仮定より $p\nmid m$ である。$p$ は素数だから、積が $p$ で割り切れて一方の因数 $m$ が $p$ で割り切れないなら、もう一方の因数が $p$ で割り切れる。
したがって、
$$ p\mid (m^{p-1}-1)
$$
である。
**(4)**
$a\in S$ より、
$$ a=4n^2+4n-1
$$
と表される。ここで
$$ 4n^2+4n-1=(2n+1)^2-2
$$
である。
$a$ と $2n+1$ の正の公約数を $d$ とする。このとき、
$$ d\mid a,\qquad d\mid (2n+1)
$$
である。
$d\mid (2n+1)$ だから、
$$ d\mid (2n+1)^2
$$
である。また、
$$ a=(2n+1)^2-2
$$
なので、$d\mid a$ と $d\mid (2n+1)^2$ から
$$ d\mid 2
$$
が従う。
一方、$2n+1$ は奇数であるから、その約数 $d$ も奇数である。よって、$d$ は $2$ の約数であり、かつ奇数であるから
$$ d=1
$$
である。
したがって、$a$ と $2n+1$ は互いに素である。
**(5)**
$p$ は $3$ 以上の素数であり、$p$ が $S$ に属するある整数 $a$ を割り切るとする。
$a\in S$ より、ある自然数 $n$ を用いて
$$ a=4n^2+4n-1=(2n+1)^2-2
$$
と表される。
$p\mid a$ だから、
$$ (2n+1)^2-2\equiv 0 \pmod p
$$
すなわち
$$ (2n+1)^2\equiv 2 \pmod p
$$
である。
また、(4)より $a$ と $2n+1$ は互いに素である。いま $p\mid a$ であるから、もし $p\mid (2n+1)$ なら $p$ は $a$ と $2n+1$ の公約数になってしまう。これは (4) に反する。
したがって、
$$ p\nmid (2n+1)
$$
である。
そこで、(3)の後半を $m=2n+1$ に適用すると、
$$ (2n+1)^{p-1}-1
$$
は $p$ で割り切れる。すなわち、
$$ (2n+1)^{p-1}\equiv 1 \pmod p
$$
である。
一方、
$$ (2n+1)^2\equiv 2 \pmod p
$$
なので、両辺を $\dfrac{p-1}{2}$ 乗して、
$$ {(2n+1)^2}^{\frac{p-1}{2}}\equiv 2^{\frac{p-1}{2}}\pmod p
$$
となる。左辺は
$$ (2n+1)^{p-1}
$$
であるから、
$$ 2^{\frac{p-1}{2}}\equiv (2n+1)^{p-1}\equiv 1 \pmod p
$$
である。
よって、
$$ p\mid \left(2^{\frac{p-1}{2}}-1\right)
$$
が示された。
解説
(1)は、二項係数 ${}_pC_j$ が素数 $p$ を因数にもつことを示す基本事実である。この結果により、二項展開したときの中間項がすべて $p$ の倍数になる。
(2)はその直接利用であり、(3)はそれを帰納法に組み込むことでフェルマーの小定理を導いている。
後半の要点は、$4n^2+4n-1$ をそのまま扱わず、
$$ 4n^2+4n-1=(2n+1)^2-2
$$
と平方の形に直すことである。これにより、$p\mid a$ から
$$ (2n+1)^2\equiv 2 \pmod p
$$
が得られる。
さらに (4) によって $2n+1$ が $p$ で割り切れないことを保証し、フェルマーの小定理を適用できるようにしている点が重要である。
答え
**(1)**
$0<j<p$ のとき、${}_pC_j$ は $p$ で割り切れる。
**(2)**
すべての自然数 $m$ に対して、$(m+1)^p-m^p-1$ は $p$ で割り切れる。
**(3)**
すべての自然数 $m$ に対して、$m^p-m$ は $p$ で割り切れる。また、$p\nmid m$ のとき、$m^{p-1}-1$ は $p$ で割り切れる。
**(4)**
$a=4n^2+4n-1$ と $2n+1$ は互いに素である。
**(5)**
$p$ が $S$ に属するある整数 $a$ を割り切るならば、
$$ 2^{\frac{p-1}{2}}-1
$$
は $p$ で割り切れる。