基礎問題集
数学A 整数問題「無限降下法」の問題1 解説
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解説
方針・初手
(1) は法 $3$ で平方数の余りを見る。(2) は法 $9$ で立方数の余りを見る。特に (2) では、解が存在すると仮定して $x,y,z$ がすべて $3$ の倍数になることを示し、同じ形のより小さい解を作ることで無限降下法を用いる。
解法1
(1)
与えられた式
$$ x^2+4y^2=9z^2
$$
を法 $3$ で見る。$4\equiv 1 \pmod{3}$、$9z^2\equiv 0 \pmod{3}$ より、
$$ x^2+y^2\equiv 0 \pmod{3}
$$
である。
平方数を $3$ で割った余りは $0$ または $1$ である。したがって、$x^2+y^2\equiv 0 \pmod{3}$ となるには、
$$ x^2\equiv 0 \pmod{3},\qquad y^2\equiv 0 \pmod{3}
$$
でなければならない。
よって、
$$ x\equiv 0 \pmod{3},\qquad y\equiv 0 \pmod{3}
$$
である。したがって、$x$ と $y$ はいずれも $3$ の倍数である。
次に、実際に条件を満たす自然数の例を挙げる。例えば
$$ x=9,\qquad y=6,\qquad z=5
$$
とすると、
$$ x^2+4y^2=9^2+4\cdot 6^2=81+144=225
$$
であり、
$$ 9z^2=9\cdot 5^2=225
$$
となる。よって、
$$ 9^2+4\cdot 6^2=9\cdot 5^2
$$
であるから、これは条件を満たす例である。
(2)
自然数 $x,y,z$ が
$$ x^3+4y^3=9z^3
$$
を満たすと仮定する。
まず、法 $9$ で立方数の余りを調べる。任意の整数 $n$ について、$n^3$ を $9$ で割った余りは
$$ 0,\ 1,\ -1
$$
のいずれかである。
したがって、
$$ x^3\equiv 0,\pm 1 \pmod{9}
$$
であり、また
$$ 4y^3\equiv 0,\pm 4 \pmod{9}
$$
である。
一方、右辺 $9z^3$ は $9$ の倍数なので、
$$ x^3+4y^3\equiv 0 \pmod{9}
$$
でなければならない。
ここで、$x^3$ の可能な余り $0,\pm 1$ と、$4y^3$ の可能な余り $0,\pm 4$ を足して $0$ になるのは、法 $9$ において
$$ x^3\equiv 0 \pmod{9},\qquad 4y^3\equiv 0 \pmod{9}
$$
の場合だけである。
よって、
$$ x^3\equiv 0 \pmod{9},\qquad y^3\equiv 0 \pmod{9}
$$
であるから、$x,y$ はともに $3$ の倍数である。
したがって、ある自然数 $a,b$ を用いて
$$ x=3a,\qquad y=3b
$$
と書ける。これを元の式に代入すると、
$$ (3a)^3+4(3b)^3=9z^3
$$
であるから、
$$ 27a^3+108b^3=9z^3
$$
となる。両辺を $9$ で割ると、
$$ 3a^3+12b^3=z^3
$$
すなわち
$$ 3(a^3+4b^3)=z^3
$$
である。したがって $z^3$ は $3$ の倍数であり、$z$ も $3$ の倍数である。
そこで、ある自然数 $c$ を用いて
$$ z=3c
$$
と書ける。これを
$$ 3(a^3+4b^3)=z^3
$$
に代入すると、
$$ 3(a^3+4b^3)=27c^3
$$
より、
$$ a^3+4b^3=9c^3
$$
を得る。
これは、もとの式
$$ x^3+4y^3=9z^3
$$
と同じ形の式であり、しかも
$$ a=\frac{x}{3},\qquad b=\frac{y}{3},\qquad c=\frac{z}{3}
$$
であるから、もとの解より小さい自然数解を与える。
したがって、もし自然数解が存在するなら、同じ議論を繰り返すことで、いくらでも小さい自然数解が存在することになる。しかし自然数は正の整数であり、無限に $3$ で割り続けることはできない。
これは矛盾である。よって、
$$ x^3+4y^3=9z^3
$$
を満たす自然数 $x,y,z$ は存在しない。
解説
(1) は平方数の法 $3$ における性質を使う典型問題である。平方数の余りが $0,1$ だけであることから、和が $0$ になるには両方とも $0$ でなければならない。
(2) では法 $3$ では情報が足りないため、法 $9$ で立方数を見る。立方数の法 $9$ における余りが $0,\pm1$ に限られることを使うと、$x,y$ がともに $3$ の倍数であることが分かる。さらに式から $z$ も $3$ の倍数となり、同じ形のより小さい解が得られる。これが無限降下法である。
答え
**(1)**
$x^2+4y^2=9z^2$ を満たす自然数 $x,y,z$ があれば、$x,y$ はともに $3$ の倍数である。例として、
$$ (x,y,z)=(9,6,5)
$$
がある。
**(2)**
$x^3+4y^3=9z^3$ を満たす自然数 $x,y,z$ は存在しない。