基礎問題集
数学A 整数問題「無限降下法」の問題4 解説
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解説
方針・初手
数列 $a_{n+1}=a_n(a_n+1)$ から、隣り合う項の間に
$$ (2a_{k+1}+1)^2-(2a_k+1)^2=(2a_{k+1})^2
$$
という関係が成り立つことに注目する。
(1) はこの関係を足し合わせることで示す。(2) は $2a_n+1$ と $a_n,\ a_n+1$ の互いに素性を見る。(3) は (1), (2) を利用して
$$ (x,y,z,w)=(2a_n+1,\ 2a_{n+1},\ 2a_{n+2},\ 2a_{n+2}+1)
$$
とおく。
解法1
まず、$k\geqq 1$ に対して
$$ a_{k+1}=a_k(a_k+1)
$$
であるから、
$$ \begin{aligned} (2a_{k+1}+1)^2-(2a_k+1)^2 &={(2a_{k+1}+1)-(2a_k+1)}{(2a_{k+1}+1)+(2a_k+1)} \\ &=2(a_{k+1}-a_k)\cdot 2(a_{k+1}+a_k+1) \\ &=4(a_{k+1}-a_k)(a_{k+1}+a_k+1) \end{aligned}
$$
となる。
ここで
$$ a_{k+1}-a_k=a_k(a_k+1)-a_k=a_k^2
$$
また、
$$ a_{k+1}+a_k+1=a_k(a_k+1)+a_k+1=(a_k+1)^2
$$
である。したがって
$$ (2a_{k+1}+1)^2-(2a_k+1)^2 =4a_k^2(a_k+1)^2 =(2a_{k+1})^2
$$
が成り立つ。
(1)
上で得た式を $k=1,2,\dots,n-1$ について足し合わせると、
$$ \begin{aligned} \sum_{k=1}^{n-1}{(2a_{k+1}+1)^2-(2a_k+1)^2} &= \sum_{k=1}^{n-1}(2a_{k+1})^2 \end{aligned} $$
である。左辺は望ましく消去されて、
$$ \begin{aligned} (2a_n+1)^2-(2a_1+1)^2 &= \sum_{k=2}^{n}(2a_k)^2 \end{aligned} $$
となる。
$a_1=1$ より $2a_1+1=3$ であるから、
$$ (2a_1+1)^2+\sum_{k=2}^{n}(2a_k)^2=(2a_n+1)^2
$$
が成り立つ。
よって、$n\geqq 2$ のとき、
$$ (2a_1+1)^2+\sum_{k=2}^{n}(2a_k)^2=(2a_n+1)^2
$$
である。
(2)
$2a_{n+1}=2a_n(a_n+1)$ である。
いま、$d$ を $2a_n+1$ と $2a_{n+1}$ の公約数とする。$2a_n+1$ は奇数なので、$d$ は $2$ と互いに素である。
また、
$$ 2a_n+1\equiv 1 \pmod {a_n}
$$
であるから、$2a_n+1$ と $a_n$ の最大公約数は $1$ である。
さらに、
$$ 2a_n+1=2(a_n+1)-1
$$
より、
$$ 2a_n+1\equiv -1 \pmod {a_n+1}
$$
であるから、$2a_n+1$ と $a_n+1$ の最大公約数も $1$ である。
したがって、$2a_n+1$ は $2,\ a_n,\ a_n+1$ のいずれとも共通の素因数をもたない。よって
$$ \gcd(2a_n+1,\ 2a_{n+1})=\gcd(2a_n+1,\ 2a_n(a_n+1))=1
$$
である。
(3)
$n=1,2,3,\dots$ に対して、
$$ (x,y,z,w)=(2a_n+1,\ 2a_{n+1},\ 2a_{n+2},\ 2a_{n+2}+1)
$$
と定める。
まず、(1) の証明中で得た関係より、
$$ (2a_n+1)^2+(2a_{n+1})^2=(2a_{n+1}+1)^2
$$
である。また同じ関係をもう一度用いると、
$$ (2a_{n+1}+1)^2+(2a_{n+2})^2=(2a_{n+2}+1)^2
$$
である。
したがって、
$$ (2a_n+1)^2+(2a_{n+1})^2+(2a_{n+2})^2=(2a_{n+2}+1)^2
$$
が成り立つ。すなわち、
$$ x^2+y^2+z^2=w^2
$$
である。
次に、(2) より
$$ \gcd(2a_n+1,\ 2a_{n+1})=1
$$
であるから、
$$ \gcd(x,y)=1
$$
である。
さらに、
$$ z=2a_{n+2}=2a_{n+1}(a_{n+1}+1)=(2a_{n+1})(a_{n+1}+1)
$$
であるから、
$$ z=y(a_{n+1}+1)
$$
となる。よって $z$ は $y$ の倍数である。
以上より、各 $n=1,2,3,\dots$ に対して条件 (i), (ii), (iii) を満たす自然数の組が得られる。
最後に、数列 ${a_n}$ は
$$ a_{n+1}=a_n(a_n+1)>a_n
$$
を満たすので単調に増加する。したがって、$n$ を変えると $x=2a_n+1$ も異なる。
よって、条件を満たす $4$ つの自然数の組 $(x,y,z,w)$ は無数に存在する。
解説
この問題の中心は、漸化式から
$$ (2a_{k+1}+1)^2-(2a_k+1)^2=(2a_{k+1})^2
$$
を取り出すことである。
この式は、隣り合う項から直角三角形型の関係
$$ (2a_k+1)^2+(2a_{k+1})^2=(2a_{k+1}+1)^2
$$
を作る。さらにこれを連続して使うことで、
$$ (2a_n+1)^2+(2a_{n+1})^2+(2a_{n+2})^2=(2a_{n+2}+1)^2
$$
という $3$ つの平方和の形が得られる。
(2) は、(3) で $\gcd(x,y)=1$ を保証するための準備である。$2a_{n+1}=2a_n(a_n+1)$ と分解し、$2a_n+1$ が $2,\ a_n,\ a_n+1$ のどれとも共通因数をもたないことを示すのが要点である。
答え
**(1)**
$$ (2a_1+1)^2+\sum_{k=2}^{n}(2a_k)^2=(2a_n+1)^2
$$
が成り立つ。
**(2)**
$$ \gcd(2a_n+1,\ 2a_{n+1})=1
$$
である。
**(3)**
$n=1,2,3,\dots$ に対して
$$ (x,y,z,w)=(2a_n+1,\ 2a_{n+1},\ 2a_{n+2},\ 2a_{n+2}+1)
$$
とおけば、条件
$$ x^2+y^2+z^2=w^2,\qquad \gcd(x,y)=1,\qquad z\text{ は }y\text{ の倍数}
$$
をすべて満たす。さらに $n$ によって異なる組が得られるので、そのような自然数の組は無数に存在する。