基礎問題集
数学A 整数問題「整数問題」の問題20 解説
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解説
方針・初手
整数を $3$ で割った余りに着目する。平方数を $3$ で割った余りは $0$ または $1$ に限られるので、これを用いて順に示す。
特に (3) は、合同式で全ての変数が $3$ の倍数であることを示し、それを繰り返す無限降下法で結論を得る。
解法1
まず (1) を示す。
整数 $a$ が $3$ の倍数でないとき、$a$ を $3$ で割った余りは $1$ または $2$ である。したがって
$$ a \equiv 1,\ 2 \pmod{3}
$$
のいずれかである。
このとき平方すると、
$$ 1^2 \equiv 1 \pmod{3}, \qquad 2^2=4 \equiv 1 \pmod{3}
$$
であるから、どちらの場合も
$$ a^2 \equiv 1 \pmod{3}
$$
となる。よって、$a^2$ を $3$ で割った余りは $1$ である。
次に (2) を示す。
$a^2-2b^2$ が $3$ の倍数であるとする。このとき
$$ a^2-2b^2 \equiv 0 \pmod{3}
$$
である。
まず $b$ が $3$ の倍数でないと仮定する。すると (1) より
$$ b^2 \equiv 1 \pmod{3}
$$
であるから、
$$ a^2-2b^2 \equiv a^2-2 \pmod{3}
$$
である。
一方、任意の整数の平方を $3$ で割った余りは $0$ または $1$ なので、$a^2 \equiv 0,\ 1 \pmod{3}$ のいずれかである。したがって
$$ a^2-2 \equiv 1,\ 2 \pmod{3}
$$
のいずれかであり、$0$ にはならない。
これは $a^2-2b^2 \equiv 0 \pmod{3}$ に反する。よって $b$ は $3$ の倍数である。
$b$ が $3$ の倍数であるから、
$$ b^2 \equiv 0 \pmod{3}
$$
である。これを
$$ a^2-2b^2 \equiv 0 \pmod{3}
$$
に代入すると、
$$ a^2 \equiv 0 \pmod{3}
$$
となる。よって $a$ も $3$ の倍数である。
したがって、$a^2-2b^2$ が $3$ の倍数であるような整数 $a,b$ は、ともに $3$ の倍数である。
最後に (3) を示す。
整数 $a,b,c,d$ が
$$ a^2-2b^2+3c^2-6d^2=0
$$
を満たすとする。
この式を $3$ を法として見ると、$3c^2$ と $6d^2$ は $3$ の倍数であるから、
$$ a^2-2b^2 \equiv 0 \pmod{3}
$$
である。
よって (2) より、$a,b$ はともに $3$ の倍数である。そこで
$$ a=3a_1,\qquad b=3b_1
$$
とおく。
元の式に代入すると、
$$ 9a_1^2-18b_1^2+3c^2-6d^2=0
$$
である。両辺を $3$ で割って、
$$ 3a_1^2-6b_1^2+c^2-2d^2=0
$$
を得る。
この式を $3$ を法として見ると、
$$ c^2-2d^2 \equiv 0 \pmod{3}
$$
である。したがって (2) より、$c,d$ もともに $3$ の倍数である。
以上より、$a,b,c,d$ はすべて $3$ の倍数である。
そこで
$$ a=3a_1,\qquad b=3b_1,\qquad c=3c_1,\qquad d=3d_1
$$
とおくと、元の式は
$$ 9a_1^2-18b_1^2+27c_1^2-54d_1^2=0
$$
となる。両辺を $9$ で割れば、
$$ a_1^2-2b_1^2+3c_1^2-6d_1^2=0
$$
となる。
つまり、$(a,b,c,d)$ が解なら、全てを $3$ で割った $(a_1,b_1,c_1,d_1)$ も再び同じ形の整数解になる。
同じ議論を繰り返すと、$a,b,c,d$ は $3,3^2,3^3,\dots$ のすべてで割り切れることになる。
しかし、$0$ でない整数は十分大きい $n$ に対して $3^n$ で割り切れることはない。したがって
$$ a=b=c=d=0
$$
でなければならない。
実際、$a=b=c=d=0$ は
$$ 0^2-2\cdot 0^2+3\cdot 0^2-6\cdot 0^2=0
$$
を満たすので、これが唯一の解である。
解説
この問題の中心は、平方数の $3$ による剰余が $0$ または $1$ しかないという事実である。
(1) はその基本事実を直接示す部分であり、(2) はそれを使って $a^2-2b^2$ 型の式が $3$ の倍数になる条件を絞る部分である。
(3) では、まず合同式によって $a,b$ が $3$ の倍数であることを示し、次に式を割り直して $c,d$ も $3$ の倍数であることを示す。その結果、全ての変数が $3$ で割れるだけでなく、割った後も同じ形の方程式を満たす。
したがって同じ議論を無限に繰り返すことができる。これは無限降下法であり、非零整数が任意に高い $3$ の累乗で割り切れることはないため、全て $0$ であると結論できる。
答え
**(1)**
整数 $a$ が $3$ の倍数でなければ、
$$ a^2 \equiv 1 \pmod{3}
$$
である。したがって、$a^2$ を $3$ で割った余りは $1$ である。
**(2)**
$a^2-2b^2$ が $3$ の倍数であるならば、
$$ a \equiv b \equiv 0 \pmod{3}
$$
である。したがって、$a,b$ はともに $3$ の倍数である。
**(3)**
$$ a^2-2b^2+3c^2-6d^2=0
$$
を満たす整数 $a,b,c,d$ は
$$ a=b=c=d=0
$$
のみである。