基礎問題集
数学A 整数問題「整数問題」の問題56 解説
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解説
方針・初手
式は対称であるが、(3) では $a \geqq b \geqq c$ と順序が指定されている。まず $c$ を固定すると、残りは $a,b$ についての整数方程式になる。
特に
$$ \left(1+\frac{1}{a}\right)\left(1+\frac{1}{b}\right)\left(1+\frac{1}{c}\right)=2
$$
は、$c$ を定めると
$$ \left(1+\frac{1}{a}\right)\left(1+\frac{1}{b}\right)
$$
の値が決まる。分母を払った後、積の形に変形して正の約数を調べる。
解法1
**(1)**
$c=1$ のとき、等式は
$$ \left(1+\frac{1}{a}\right)\left(1+\frac{1}{b}\right)\cdot 2=2
$$
である。したがって
$$ \left(1+\frac{1}{a}\right)\left(1+\frac{1}{b}\right)=1
$$
となる。
しかし、$a,b$ は正の整数なので
$$ 1+\frac{1}{a}>1,\qquad 1+\frac{1}{b}>1
$$
であり、その積は $1$ より大きい。これは矛盾である。
よって、$c=1$ のとき、等式を満たす正の整数 $a,b$ は存在しない。
**(2)**
$c=2$ のとき、
$$ \left(1+\frac{1}{a}\right)\left(1+\frac{1}{b}\right)\cdot \frac{3}{2}=2
$$
であるから、
$$ \left(1+\frac{1}{a}\right)\left(1+\frac{1}{b}\right)=\frac{4}{3}
$$
となる。分母を払うと
$$ \frac{(a+1)(b+1)}{ab}=\frac{4}{3}
$$
より
$$ 3(a+1)(b+1)=4ab
$$
である。これを整理すると
$$ 3ab+3a+3b+3=4ab
$$
より
$$ ab-3a-3b=3
$$
となる。ここで両辺に $9$ を加えて
$$ ab-3a-3b+9=12
$$
すなわち
$$ (a-3)(b-3)=12
$$
である。
$a\geqq b$ より、$a-3\geqq b-3$ と考えてよい。また、$a,b$ が正の整数であることを考えると、積が $12$ になるには $a-3,b-3$ は正である。
したがって、$12$ の正の約数の組を $a-3\geqq b-3$ の条件で調べると、
$$ (a-3,b-3)=(12,1),(6,2),(4,3)
$$
である。よって
$$ (a,b)=(15,4),(9,5),(7,6)
$$
を得る。
**(3)**
$a\geqq b\geqq c$ とする。このとき
$$ 1+\frac{1}{a}\leqq 1+\frac{1}{b}\leqq 1+\frac{1}{c}
$$
であるから、
$$ 2=\left(1+\frac{1}{a}\right)\left(1+\frac{1}{b}\right)\left(1+\frac{1}{c}\right) \leqq \left(1+\frac{1}{c}\right)^3
$$
となる。よって
$$ \left(1+\frac{1}{c}\right)^3\geqq 2
$$
である。
ここで $c\geqq 4$ とすると
$$ 1+\frac{1}{c}\leqq \frac{5}{4}
$$
だから
$$ \left(1+\frac{1}{c}\right)^3\leqq \left(\frac{5}{4}\right)^3=\frac{125}{64}<2
$$
となり矛盾する。したがって
$$ c\leqq 3
$$
である。
また、(1) より $c=1$ は不可能である。したがって $c=2,3$ の場合を調べればよい。
**(i)**
$c=2$ の場合
(2) より、$a\geqq b$ を満たす組は
$$ (a,b)=(15,4),(9,5),(7,6)
$$
である。いずれも $b\geqq 2$ を満たすので、
$$ (a,b,c)=(15,4,2),(9,5,2),(7,6,2)
$$
を得る。
**(ii)**
$c=3$ の場合
等式は
$$ \left(1+\frac{1}{a}\right)\left(1+\frac{1}{b}\right)\cdot \frac{4}{3}=2
$$
であるから、
$$ \left(1+\frac{1}{a}\right)\left(1+\frac{1}{b}\right)=\frac{3}{2}
$$
となる。分母を払うと
$$ \frac{(a+1)(b+1)}{ab}=\frac{3}{2}
$$
より
$$ 2(a+1)(b+1)=3ab
$$
である。これを整理すると
$$ 2ab+2a+2b+2=3ab
$$
より
$$ ab-2a-2b=2
$$
となる。両辺に $4$ を加えて
$$ ab-2a-2b+4=6
$$
すなわち
$$ (a-2)(b-2)=6
$$
である。
$a\geqq b\geqq c=3$ だから、$a-2,b-2$ は正の整数であり、さらに $a-2\geqq b-2$ である。したがって
$$ (a-2,b-2)=(6,1),(3,2)
$$
である。よって
$$ (a,b)=(8,3),(5,4)
$$
を得る。
したがって、$c=3$ の場合は
$$ (a,b,c)=(8,3,3),(5,4,3)
$$
である。
以上より、条件を満たす組は
$$ (15,4,2),(9,5,2),(7,6,2),(8,3,3),(5,4,3)
$$
である。
解説
この問題の中心は、$c$ を固定して $a,b$ の整数方程式に落とし込むことである。特に
$$ ab-ka-kb=\text{定数}
$$
の形になったら、両辺に $k^2$ を加えて
$$ (a-k)(b-k)=\text{定数}
$$
の形にするのが典型的な処理である。
(3) では $c$ の候補を無限に調べるのではなく、$a\geqq b\geqq c$ から
$$ \left(1+\frac{1}{a}\right)\left(1+\frac{1}{b}\right)\left(1+\frac{1}{c}\right) \leqq \left(1+\frac{1}{c}\right)^3
$$
と評価して、$c\leqq 3$ に絞る点が重要である。これにより、(1)(2) の結果と $c=3$ の計算だけで全体を処理できる。
答え
**(1)**
$c=1$ のとき、等式を満たす正の整数 $a,b$ は存在しない。
**(2)**
$c=2$ のとき、$a\geqq b$ を満たす組は
$$ (a,b)=(15,4),(9,5),(7,6)
$$
である。
**(3)**
$a\geqq b\geqq c$ を満たす組は
$$ (a,b,c)=(15,4,2),(9,5,2),(7,6,2),(8,3,3),(5,4,3)
$$
である。