基礎問題集
数学A 整数問題「整数問題」の問題91 解説
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解説
方針・初手
直角三角形で辺の長さが整数なので,ピタゴラスの定理を用いる。
$BC=p$,$CA=x$,$AB=y$ とおくと,$x,y$ は正の整数であり,
$$ y^2=x^2+p^2
$$
を満たす。これを
$$ (y-x)(y+x)=p^2
$$
と因数分解し,$p$ が素数であることを利用する。
解法1
$BC=p$,$CA=x$,$AB=y$ とおく。$\angle C$ が直角であるから,ピタゴラスの定理より
$$ y^2=x^2+p^2
$$
である。したがって
$$ y^2-x^2=p^2
$$
より,
$$ (y-x)(y+x)=p^2
$$
を得る。
ここで $x,y$ は正の整数で,$y>x$ である。また $p$ は $3$ 以上の素数なので奇数である。
$p^2$ の正の約数の組は
$$ 1,\ p,\ p^2
$$
から作られる。さらに $y-x<y+x$ であるから,可能性は
$$ (y-x,\ y+x)=(1,\ p^2)
$$
または
$$ (y-x,\ y+x)=(p,\ p)
$$
である。
しかし $(y-x,\ y+x)=(p,\ p)$ とすると $x=0$ となり,三角形の辺の長さとして不適である。
よって
$$ y-x=1,\qquad y+x=p^2
$$
である。これらを加えると
$$ 2y=p^2+1
$$
より,
$$ y=\frac{p^2+1}{2}
$$
である。また,これらを引くと
$$ 2x=p^2-1
$$
より,
$$ x=\frac{p^2-1}{2}
$$
である。
したがって
$$ AB=\frac{p^2+1}{2},\qquad CA=\frac{p^2-1}{2}
$$
である。
次に,$\tan\angle A$ と $\tan\angle B$ を考える。
$\angle A$ について,向かい合う辺は $BC=p$,隣り合う辺は $CA=\dfrac{p^2-1}{2}$ であるから,
$$ \tan\angle A=\frac{BC}{CA} =\frac{p}{\frac{p^2-1}{2}} =\frac{2p}{p^2-1}
$$
である。
$p\geqq 3$ より
$$ p^2-1>2p
$$
が成り立つ。実際,
$$ p^2-1-2p=(p-1)^2-2>0
$$
である。したがって
$$ 0<\frac{2p}{p^2-1}<1
$$
であるから,$\tan\angle A$ は整数ではない。
次に,$\angle B$ について,向かい合う辺は $CA=\dfrac{p^2-1}{2}$,隣り合う辺は $BC=p$ であるから,
$$ \tan\angle B=\frac{CA}{BC} =\frac{\frac{p^2-1}{2}}{p} =\frac{p^2-1}{2p}
$$
である。
ここで
$$ p^2-1=(p-1)(p+1)
$$
であるが,$p$ は $p^2$ を割り切る一方,$p^2-1$ は $p$ で割ると余り $-1$ となるので,
$$ p\nmid p^2-1
$$
である。
したがって,分母 $2p$ に含まれる素因数 $p$ は分子 $p^2-1$ を割り切らない。よって
$$ \frac{p^2-1}{2p}
$$
は整数ではない。
以上より,$\tan\angle A$ と $\tan\angle B$ はいずれも整数にならない。
解説
この問題の核心は,ピタゴラスの定理をそのまま使うだけでなく,
$$ AB^2-CA^2=BC^2
$$
を
$$ (AB-CA)(AB+CA)=p^2
$$
と因数分解する点にある。
$BC=p$ が素数であるため,積が $p^2$ になる正の整数の組はほとんど限られる。その結果,直角三角形の三辺は一意に決まる。
また,$\tan\angle A$ は $0$ と $1$ の間にあることから整数でないと分かる。一方,$\tan\angle B$ は見た目だけでは整数の可能性がありそうだが,分母に残る素因数 $p$ が分子を割り切らないことを確認すればよい。
答え
**(1)**
$$ AB=\frac{p^2+1}{2},\qquad CA=\frac{p^2-1}{2}
$$
**(2)**
$$ \tan\angle A=\frac{2p}{p^2-1}
$$
であり,$0<\tan\angle A<1$ だから整数ではない。
また,
$$ \tan\angle B=\frac{p^2-1}{2p}
$$
であり,$p\nmid p^2-1$ だから整数ではない。