基礎問題集
数学B 確率分布・統計的推測「推定」の問題4 解説
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解説
方針・初手
玉を取り出す方法は、各玉について「取り出す」「取り出さない」の2通りを選ぶことと同じである。したがって、空集合も含めた部分集合の個数を考えればよい。
確率分布では、$n=4$ のときの $16$ 通りの取り出し方がすべて同様に確からしいとして、和 $X$ の値ごとに場合の数を数える。
母比率の推定では、標本比率を $\hat{p}$ とし、信頼度 $95%$ の近似として
$$ \hat{p}\pm 1.96\sqrt{\frac{\hat{p}(1-\hat{p})}{300}}
$$
を用いる。
解法1
**(1)**
$1$ から $n$ までの各玉について、取り出すか取り出さないかをそれぞれ選ぶ。
各玉について選択肢は2通りあるので、全部で
$$ 2^n
$$
通りである。
この中には、すべての玉を取り出さない場合も含まれている。問題では何も取り出さない場合も1通りと数えるので、答えはそのまま $2^n$ 通りである。
**(2)**
$n=4$ のとき、玉の数字は $1,2,3,4$ である。取り出し方は全部で
$$ 2^4=16
$$
通りであり、これらが同様に確からしい。
それぞれの取り出し方に対して、数字の和 $X$ を調べる。
$$ \begin{array}{c|c} X & \text{場合の数} \\ \hline 0 & 1 \\ 1 & 1 \\ 2 & 1 \\ 3 & 2 \\ 4 & 2 \\ 5 & 2 \\ 6 & 2 \\ 7 & 2 \\ 8 & 1 \\ 9 & 1 \\ 10 & 1 \end{array}
$$
よって、確率分布は次のようになる。
$$ \begin{array}{c|ccccccccccc} X & 0 & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 \\ \hline P(X) & \frac{1}{16} & \frac{1}{16} & \frac{1}{16} & \frac{2}{16} & \frac{2}{16} & \frac{2}{16} & \frac{2}{16} & \frac{2}{16} & \frac{1}{16} & \frac{1}{16} & \frac{1}{16} \end{array}
$$
次に期待値を求める。
各数字 $1,2,3,4$ は、それぞれ $16$ 通り中 $8$ 通りで取り出される。したがって、各数字が和 $X$ に加わる確率は $\frac{1}{2}$ である。
よって期待値は
$$ E(X)=1\cdot\frac{1}{2}+2\cdot\frac{1}{2}+3\cdot\frac{1}{2}+4\cdot\frac{1}{2}
$$
であるから、
$$ E(X)=\frac{1+2+3+4}{2}=5
$$
となる。
次に分散を求める。数字 $k$ が取り出されるとき $1$、取り出されないとき $0$ をとる確率変数を $Y_k$ とすると、
$$ X=1Y_1+2Y_2+3Y_3+4Y_4
$$
である。
各 $Y_k$ は確率 $\frac{1}{2}$ で $1$、確率 $\frac{1}{2}$ で $0$ をとるので、
$$ V(Y_k)=\frac{1}{2}\left(1-\frac{1}{2}\right)=\frac{1}{4}
$$
である。
また、各玉を取り出すかどうかは独立に決まるので、
$$ \begin{aligned} V(X) &=1^2V(Y_1)+2^2V(Y_2)+3^2V(Y_3)+4^2V(Y_4)\\ &=\frac{1^2+2^2+3^2+4^2}{4}\\ &=\frac{30}{4}\\ &=\frac{15}{2} \end{aligned}
$$
となる。
したがって、標準偏差は
$$ \sqrt{V(X)}=\sqrt{\frac{15}{2}}=\frac{\sqrt{30}}{2}
$$
である。
**(3)**
捕らえた $300$ 匹のうち、A種は $90$ 匹であるから、標本比率は
$$ \hat{p}=\frac{90}{300}=0.3
$$
である。
信頼度 $95%$ で母比率を推定するため、正規近似により
$$ \hat{p}\pm 1.96\sqrt{\frac{\hat{p}(1-\hat{p})}{300}}
$$
を用いる。
ここで、
$$ \begin{aligned} \sqrt{\frac{\hat{p}(1-\hat{p})}{300}} &= \sqrt{\frac{0.3\cdot 0.7}{300}} \\ \sqrt{0.0007} \end{aligned} $$
である。
$$ \sqrt{0.0007}\fallingdotseq 0.02646
$$
より、
$$ 1.96\sqrt{0.0007}\fallingdotseq 1.96\cdot 0.02646 \fallingdotseq 0.0519
$$
である。
したがって、母比率 $p$ の信頼度 $95%$ の信頼区間は
$$ 0.3-0.0519 \leqq p \leqq 0.3+0.0519
$$
すなわち
$$ 0.2481 \leqq p \leqq 0.3519
$$
である。
百分率で表すと、A種の野ねずみはこの原野全体で
$$ 24.8%\leqq p\leqq 35.2%
$$
程度生息していると推定される。
解説
(1)は「何個取り出すか」を先に決めるよりも、各玉について「取る・取らない」を選ぶと考える方が速い。この考え方により、空の場合も自然に含めて $2^n$ 通りとなる。
(2)では、取り出し方をすべて列挙してもよいが、期待値と分散については各数字が独立に確率 $\frac{1}{2}$ で加わると考えると計算が簡潔になる。確率分布は対称的になっており、$X=5$ を中心として分布している。
(3)では、標本比率 $\frac{90}{300}=0.3$ を母比率の推定値とし、標本数が十分大きいので正規近似を用いる。信頼度 $95%$ では、標準正規分布の中央 $95%$ に対応する値として $1.96$ を使う。
答え
**(1)**
$$ 2^n \text{ 通り}
$$
**(2)**
確率分布は
$$ \begin{array}{c|ccccccccccc} X & 0 & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 \\ \hline P(X) & \frac{1}{16} & \frac{1}{16} & \frac{1}{16} & \frac{2}{16} & \frac{2}{16} & \frac{2}{16} & \frac{2}{16} & \frac{2}{16} & \frac{1}{16} & \frac{1}{16} & \frac{1}{16} \end{array}
$$
期待値は
$$ E(X)=5
$$
標準偏差は
$$ \frac{\sqrt{30}}{2}
$$
**(3)**
信頼度 $95%$ で、A種の野ねずみの割合は
$$ 24.8%\leqq p\leqq 35.2%
$$
と推定される。