基礎問題集
数学B 数列「等差数列・等比数列」の問題8 解説
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解説
方針・初手
等差数列の一般項は、定数 $A,B$ を用いて
$$ a_n=An+B
$$
と表せる。この形に直すと、第 $k$ 項、第 $l$ 項、第 $m$ 項はそれぞれ $Ak+B,Al+B,Am+B$ となるので、与えられた式は添字 $k,l,m$ に関する恒等的な打ち消しとして確認できる。
逆向きでは、第 $k$ 項と第 $l$ 項を通る等差数列をまず作り、その第 $m$ 項が $r$ になることを与えられた条件から示す。
解法1
等差数列 ${a_n}$ の一般項を
$$ a_n=An+B
$$
とおく。ただし $A,B$ は定数である。
第 $k$ 項、第 $l$ 項、第 $m$ 項をそれぞれ $p,q,r$ とするから、
$$ p=Ak+B,\qquad q=Al+B,\qquad r=Am+B
$$
である。
したがって、
$$ q-r=(Al+B)-(Am+B)=A(l-m),
$$
$$ r-p=(Am+B)-(Ak+B)=A(m-k),
$$
$$ p-q=(Ak+B)-(Al+B)=A(k-l)
$$
である。
これらを左辺に代入すると、
$$ \begin{aligned} k(q-r)+l(r-p)+m(p-q) &=kA(l-m)+lA(m-k)+mA(k-l)\\ &=A{k(l-m)+l(m-k)+m(k-l)}\\ &=A(kl-km+lm-kl+mk-ml)\\ &=0. \end{aligned}
$$
よって、
$$ k(q-r)+l(r-p)+m(p-q)=0
$$
が成り立つ。
次に逆を示す。
実数 $p,q,r$ が
$$ k(q-r)+l(r-p)+m(p-q)=0
$$
を満たすとする。$k,l,m$ は相異なる自然数なので、特に $l-k\neq 0$ である。
第 $k$ 項が $p$、第 $l$ 項が $q$ となる等差数列を作るため、一般項を
$$ a_n=p+\frac{q-p}{l-k}(n-k)
$$
と定める。
これは $n$ の一次式であるから、等差数列である。このとき、
$$ a_k=p+\frac{q-p}{l-k}(k-k)=p
$$
であり、
$$ a_l=p+\frac{q-p}{l-k}(l-k)=q
$$
である。
あとは $a_m=r$ を示せばよい。
仮定の式を $r$ について整理する。
$$ \begin{aligned} k(q-r)+l(r-p)+m(p-q)&=0\\ kq-kr+lr-lp+mp-mq&=0\\ (l-k)r+p(m-l)+q(k-m)&=0. \end{aligned}
$$
よって、
$$ (l-k)r=p(l-m)+q(m-k)
$$
である。$l-k\neq 0$ より、
$$ r=\frac{p(l-m)+q(m-k)}{l-k}
$$
となる。
一方、定めた等差数列の第 $m$ 項は
$$ \begin{aligned} a_m &=p+\frac{q-p}{l-k}(m-k)\\ &=\frac{p(l-k)+(q-p)(m-k)}{l-k}\\ &=\frac{p(l-k)+q(m-k)-p(m-k)}{l-k}\\ &=\frac{p(l-m)+q(m-k)}{l-k}. \end{aligned}
$$
したがって、
$$ a_m=r
$$
である。
以上より、第 $k$ 項が $p$、第 $l$ 項が $q$、第 $m$ 項が $r$ となる等差数列が存在する。
解説
この問題の本質は、等差数列の一般項が添字 $n$ の一次式で表されるという点にある。つまり、等差数列の項は「添字と項の値の対応が一直線上にある」と見なせる。
(1) は、一次式 $An+B$ に $k,l,m$ を代入して得られる値 $p,q,r$ が満たす関係式を確認する問題である。定数項 $B$ は差を取ると消えるため、添字の差だけが残り、最後に完全に打ち消し合う。
(2) は、逆に $p,q,r$ がその関係式を満たすなら、3点 $(k,p),(l,q),(m,r)$ が同一直線上にあることを意味する。そこで、まず $(k,p)$ と $(l,q)$ を通る一次式を作り、その一次式に $m$ を代入した値が $r$ になることを確認すればよい。
答え
**(1)**
$$ k(q-r)+l(r-p)+m(p-q)=0
$$
が成り立つ。
**(2)**
条件
$$ k(q-r)+l(r-p)+m(p-q)=0
$$
が成り立つなら、
$$ a_n=p+\frac{q-p}{l-k}(n-k)
$$
と定めた等差数列は
$$ a_k=p,\qquad a_l=q,\qquad a_m=r
$$
を満たす。よって、求める等差数列は存在する。