基礎問題集
数学B 数列「数学的帰納法」の問題3 解説
数学Bの数列「数学的帰納法」にある問題3の基礎問題と解説ページです。問題と保存済み解説を公開し、ログイン後はAI質問と学習履歴も利用できます。
MathGrAIl の基礎問題集にある公開問題ページです。ログイン前でも問題と保存済み解説を確認でき、ログイン後はAI質問と学習履歴の保存を利用できます。
- 基礎問題の問題画像と保存済み解説を公開
- ログイン後にAI質問で復習
- ログイン後に学習履歴を保存
解説
方針・初手
帰納法では、$n=k$ の不等式から $n=k+1$ の不等式へ進める。階乗は $(k+1)!= (k+1)k!$ と書けるので、帰納法の仮定を $k!$ に代入する。
そのあと必要になる比較は
$$ (k+1)\left(\frac{k+1}{2}\right)^k < \left(\frac{k+2}{2}\right)^{k+1}
$$
であり、これは二項定理を用いて示す。
解法1
まず $n=2$ のときを確認する。
$$ 2! = 2,\qquad \left(\frac{2+1}{2}\right)^2=\left(\frac32\right)^2=\frac94
$$
より、
$$ 2<\frac94
$$
であるから、$n=2$ で不等式は成り立つ。
次に、ある $k\geqq 2$ に対して
$$ k!<\left(\frac{k+1}{2}\right)^k
$$
が成り立つと仮定する。このとき、$n=k+1$ の場合を示す。
帰納法の仮定より、
$$ (k+1)!=(k+1)k!<(k+1)\left(\frac{k+1}{2}\right)^k
$$
である。したがって、
$$ (k+1)\left(\frac{k+1}{2}\right)^k<\left(\frac{k+2}{2}\right)^{k+1}
$$
を示せばよい。
この不等式を変形すると、
$$ (k+1)\left(\frac{k+1}{2}\right)^k<\left(\frac{k+2}{2}\right)^{k+1}
$$
は
$$ 2(k+1)^{k+1}<(k+2)^{k+1}
$$
と同値である。さらに、これは
$$ 2<\left(\frac{k+2}{k+1}\right)^{k+1}
$$
すなわち
$$ 2<\left(1+\frac{1}{k+1}\right)^{k+1}
$$
と同値である。
ここで二項定理より、
$$ \begin{aligned} \left(1+\frac{1}{k+1}\right)^{k+1} &= 1+(k+1)\cdot\frac{1}{k+1} +\sum_{r=2}^{k+1}{}_{k+1}\mathrm{C}_{r}\left(\frac{1}{k+1}\right)^r \end{aligned} $$
である。右辺の第1項と第2項は
$$ 1+(k+1)\cdot\frac{1}{k+1}=2
$$
であり、さらに $r=2$ 以降の項はすべて正である。よって
$$ \left(1+\frac{1}{k+1}\right)^{k+1}>2
$$
が成り立つ。
したがって、
$$ (k+1)\left(\frac{k+1}{2}\right)^k<\left(\frac{k+2}{2}\right)^{k+1}
$$
であるから、
$$ (k+1)!<\left(\frac{k+2}{2}\right)^{k+1}
$$
が成り立つ。
以上より、$n=2$ で成り立ち、$n=k$ で成り立つならば $n=k+1$ でも成り立つ。数学的帰納法により、すべての $2$ 以上の自然数 $n$ について
$$ n!<\left(\frac{n+1}{2}\right)^n
$$
が成り立つ。
解説
帰納法の仮定を使うと、次に必要なのは階乗部分ではなく
$$ (k+1)\left(\frac{k+1}{2}\right)^k
$$
と
$$ \left(\frac{k+2}{2}\right)^{k+1}
$$
の比較である。
ここを直接計算しようとすると複雑に見えるが、両辺を整理すると
$$ 2<\left(1+\frac{1}{k+1}\right)^{k+1}
$$
に帰着する。この形になれば、二項定理により $1+1$ より大きいことがすぐに分かる。
この問題の要点は、帰納法の仮定を使った後に残る不等式を、二項定理で処理できる形まで変形することである。
答え
すべての $2$ 以上の自然数 $n$ について、
$$ n!<\left(\frac{n+1}{2}\right)^n
$$
が成り立つ。