基礎問題集
数学B 数列「数学的帰納法」の問題4 解説
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解説
方針・初手
(1) は二項定理で展開し、$k\geqq 2$ の項がすべて正であることを見る。
(2) は (1) に $h=\dfrac{1}{n}$ を代入すればよい。
(3) は数学的帰納法で示す。帰納法の推移で
$$ \left(\frac{n+1}{2}\right)^{n+1}
$$
と
$$ \left(\frac{n}{2}\right)^n
$$
の比を考えると、(2) がそのまま使える。
解法1
まず (1) を示す。
$h>0$、$n\geqq 2$ であるから、二項定理より
$$ \begin{aligned} (1+h)^n &= 1+nh+{}_{n}\mathrm{C}_{2}h^2+{}_{n}\mathrm{C}_{3}h^3+\cdots+h^n \end{aligned} $$
である。
ここで $h>0$ より、$h^2,h^3,\ldots,h^n$ はすべて正である。また、二項係数も正であるから、
$$ {}_{n}\mathrm{C}_{2}h^2+{}_{n}\mathrm{C}_{3}h^3+\cdots+h^n>0
$$
である。したがって、
$$ (1+h)^n>1+nh
$$
が成り立つ。
次に (2) を示す。
$n\geqq 2$ であるから、$h=\dfrac{1}{n}>0$ とおける。(1) に $h=\dfrac{1}{n}$ を代入すると、
$$ \left(1+\frac{1}{n}\right)^n
>
1+n\cdot \frac{1}{n}
$$
となる。よって、
$$ \left(1+\frac{1}{n}\right)^n>2
$$
である。
最後に (3) を示す。
$n\geqq 6$ に対して
$$ \left(\frac{n}{2}\right)^n>n!
$$
を数学的帰納法で証明する。
**(i)**
$n=6$ のとき
$$ \left(\frac{6}{2}\right)^6=3^6=729
$$
であり、
$$ 6!=720
$$
であるから、
$$ \left(\frac{6}{2}\right)^6>6!
$$
が成り立つ。
**(ii)**
$n\geqq 6$ とし、
$$ \left(\frac{n}{2}\right)^n>n!
$$
が成り立つと仮定する。このとき、$n+1\geqq 7$ であり、$n\geqq 2$ なので (2) より
$$ \left(1+\frac{1}{n}\right)^n>2
$$
である。
ここで、
$$ \begin{aligned} \left(\frac{n+1}{2}\right)^{n+1} &= \left(\frac{n}{2}\right)^n \cdot \frac{n+1}{2} \cdot \left(\frac{n+1}{n}\right)^n \\ &= \left(\frac{n}{2}\right)^n \cdot \frac{n+1}{2} \cdot \left(1+\frac{1}{n}\right)^n \end{aligned}
$$
である。
(2) より
$$ \begin{aligned} \frac{n+1}{2} \left(1+\frac{1}{n}\right)^n \\ > \\ \frac{n+1}{2}\cdot 2 \\ n+1 \end{aligned} $$
だから、
$$ \left(\frac{n+1}{2}\right)^{n+1}
>
(n+1)\left(\frac{n}{2}\right)^n
$$
である。
帰納法の仮定より
$$ \left(\frac{n}{2}\right)^n>n!
$$
なので、
$$ (n+1)\left(\frac{n}{2}\right)^n>(n+1)n!=(n+1)!
$$
となる。したがって、
$$ \left(\frac{n+1}{2}\right)^{n+1}>(n+1)!
$$
が成り立つ。
以上より、数学的帰納法によって、すべての $n\geqq 6$ に対して
$$ \left(\frac{n}{2}\right)^n>n!
$$
が成り立つ。
解説
(1) はベルヌーイの不等式の基本形であり、二項展開すれば $1+nh$ より後ろの項が正であることから直ちに従う。
(2) は (1) の具体的な代入である。ここで得られる
$$ \left(1+\frac{1}{n}\right)^n>2
$$
は、(3) の帰納法で増加比を評価するために使う。
(3) では、単に
$$ \left(\frac{n}{2}\right)^n>n!
$$
から次の $n+1$ の形へ移るのではなく、
$$ \left(\frac{n+1}{2}\right)^{n+1}
$$
を
$$ \left(\frac{n}{2}\right)^n
$$
を含む形に変形することが重要である。そのとき現れる
$$ \left(1+\frac{1}{n}\right)^n
$$
に (2) を適用することで、ちょうど階乗の次の因子 $n+1$ を上回る評価が得られる。
答え
**(1)**
$h>0$、$n\geqq 2$ のとき、
$$ (1+h)^n>1+nh
$$
である。
**(2)**
$n\geqq 2$ のとき、
$$ \left(1+\frac{1}{n}\right)^n>2
$$
である。
**(3)**
$n\geqq 6$ のとき、
$$ \left(\frac{n}{2}\right)^n>n!
$$
である。