基礎問題集
数学B 数列「数学的帰納法」の問題5 解説
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解説
方針・初手
数学的帰納法で示すため、$n=2$ のときに成り立つことを確認し、$n$ のときに成り立つと仮定して $n+1$ のときに成り立つことを示す。
帰納法の途中では、追加される項 $\dfrac{1}{\sqrt{n+1}}$ を、右辺の差
$$ 2\sqrt{n+1}-2\sqrt{n}
$$
と比較するのが要点である。
解法1
命題 $P(n)$ を
$$ \frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{3}}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{n}}<2\sqrt{n}-2
$$
とする。ただし $n$ は $2$ 以上の自然数である。
まず $n=2$ のときを確認する。このとき左辺は $\dfrac{1}{\sqrt{2}}$、右辺は $2\sqrt{2}-2$ である。
示すべきことは
$$ \frac{1}{\sqrt{2}}<2\sqrt{2}-2
$$
である。両辺は正であり、右辺との差を調べると
$$ 2\sqrt{2}-2-\frac{1}{\sqrt{2}} =\frac{4-2\sqrt{2}-1}{\sqrt{2}} =\frac{3-2\sqrt{2}}{\sqrt{2}}
$$
となる。ここで $3>2\sqrt{2}$ は、両辺が正であり $9>8$ から成り立つ。したがって
$$ \frac{3-2\sqrt{2}}{\sqrt{2}}>0
$$
であるから、$P(2)$ は成り立つ。
次に、ある $n\geqq 2$ に対して $P(n)$ が成り立つと仮定する。すなわち
$$ \frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{3}}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{n}}<2\sqrt{n}-2
$$
と仮定する。
このとき
$$ \begin{aligned} \frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{3}}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{n}}+\frac{1}{\sqrt{n+1}} &<2\sqrt{n}-2+\frac{1}{\sqrt{n+1}} \end{aligned}
$$
である。
よって、あとは
$$ 2\sqrt{n}-2+\frac{1}{\sqrt{n+1}}<2\sqrt{n+1}-2
$$
を示せばよい。これは
$$ \frac{1}{\sqrt{n+1}}<2\sqrt{n+1}-2\sqrt{n}
$$
を示すことと同じである。
右辺を有理化の形で変形すると
$$ 2\sqrt{n+1}-2\sqrt{n} =2(\sqrt{n+1}-\sqrt{n}) =\frac{2}{\sqrt{n+1}+\sqrt{n}}
$$
である。
ここで $n<n+1$ より
$$ \sqrt{n}<\sqrt{n+1}
$$
であるから、
$$ \sqrt{n+1}+\sqrt{n}<2\sqrt{n+1}
$$
となる。すべて正の数なので、逆数をとると不等号の向きが反転して
$$ \frac{1}{\sqrt{n+1}+\sqrt{n}}>\frac{1}{2\sqrt{n+1}}
$$
である。両辺を $2$ 倍して
$$ \frac{2}{\sqrt{n+1}+\sqrt{n}}>\frac{1}{\sqrt{n+1}}
$$
を得る。したがって
$$ 2\sqrt{n+1}-2\sqrt{n}>\frac{1}{\sqrt{n+1}}
$$
である。
ゆえに
$$ \begin{aligned} \frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{3}}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{n}}+\frac{1}{\sqrt{n+1}} &<2\sqrt{n}-2+\frac{1}{\sqrt{n+1}}\\ &<2\sqrt{n}-2+2\sqrt{n+1}-2\sqrt{n}\\ &=2\sqrt{n+1}-2 \end{aligned}
$$
となり、$P(n+1)$ も成り立つ。
以上より、数学的帰納法によって、すべての $2$ 以上の自然数 $n$ に対して
$$ \frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{3}}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{n}}<2\sqrt{n}-2
$$
が成り立つ。
解説
この問題の核心は、帰納法の仮定に新しく加わる項 $\dfrac{1}{\sqrt{n+1}}$ を、右辺の増加量 $2\sqrt{n+1}-2\sqrt{n}$ で上から押さえる点にある。
特に
$$ 2\sqrt{n+1}-2\sqrt{n} =\frac{2}{\sqrt{n+1}+\sqrt{n}}
$$
と変形すると、$\sqrt{n}<\sqrt{n+1}$ から
$$ \frac{2}{\sqrt{n+1}+\sqrt{n}}>\frac{1}{\sqrt{n+1}}
$$
が得られる。この比較ができれば、帰納法のステップは自然につながる。
左辺の和を直接計算するのではなく、右辺の増加量に合わせて項を評価することが、この種の不等式証明の典型的な処理である。
答え
すべての $2$ 以上の自然数 $n$ に対して、
$$ \frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{3}}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{n}}<2\sqrt{n}-2
$$
が成り立つ。