基礎問題集
数学B 数列「数学的帰納法」の問題11 解説
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解説
方針・初手
$a_{k+1}$ を $a_k$ と直接結びつけるより、分子の和
$$ 1+\sqrt{2}+\cdots+\sqrt{n}
$$
に着目する。帰納法の仮定からこの和の下からの評価を得て、それを $a_{k+1}$ に代入する。
解法1
自然数 $n$ に対して
$$ a_n=\frac{1+\sqrt{2}+\cdots+\sqrt{n}}{\sqrt{n}}
$$
とする。
まず $n=1$ のとき、
$$ a_1=\frac{1}{1}=1
$$
であり、
$$ \frac{2}{3}<1
$$
だから、成り立つ。
次に、ある自然数 $k$ について
$$ \frac{2k}{3}<a_k
$$
が成り立つと仮定する。すなわち、
$$ \frac{2k}{3}<\frac{1+\sqrt{2}+\cdots+\sqrt{k}}{\sqrt{k}}
$$
である。両辺に $\sqrt{k}>0$ を掛けると、
$$ 1+\sqrt{2}+\cdots+\sqrt{k}>\frac{2k\sqrt{k}}{3}
$$
を得る。
このとき、
$$ \begin{aligned} a_{k+1} &=\frac{1+\sqrt{2}+\cdots+\sqrt{k}+\sqrt{k+1}}{\sqrt{k+1}} \\ &>\frac{\frac{2k\sqrt{k}}{3}+\sqrt{k+1}}{\sqrt{k+1}} \\ &=\frac{2k}{3}\sqrt{\frac{k}{k+1}}+1 \end{aligned}
$$
である。
ここで、$k\geqq1$ に対して
$$ \sqrt{\frac{k}{k+1}}>1-\frac{1}{2k}
$$
が成り立つことを示す。右辺は正であり、
$$ \begin{aligned} \frac{k}{k+1}-\left(1-\frac{1}{2k}\right)^2 &=\frac{k}{k+1}-\frac{(2k-1)^2}{4k^2} \\ &=\frac{4k^3-(k+1)(4k^2-4k+1)}{4k^2(k+1)} \\ &=\frac{3k-1}{4k^2(k+1)} \end{aligned}
$$
である。$k\geqq1$ より $3k-1>0$ だから、
$$ \frac{k}{k+1}>\left(1-\frac{1}{2k}\right)^2
$$
となり、
$$ \sqrt{\frac{k}{k+1}}>1-\frac{1}{2k}
$$
が従う。
したがって、
$$ \begin{aligned} a_{k+1} &>\frac{2k}{3}\sqrt{\frac{k}{k+1}}+1 \\ &>\frac{2k}{3}\left(1-\frac{1}{2k}\right)+1 \\ &=\frac{2k}{3}-\frac{1}{3}+1 \\ &=\frac{2k+2}{3} \\ &=\frac{2(k+1)}{3} \end{aligned}
$$
である。
よって、$n=k$ のとき成り立つならば、$n=k+1$ のときも成り立つ。
以上より、数学的帰納法によって、すべての自然数 $n$ について
$$ \frac{2n}{3}<a_n
$$
が成り立つ。
解説
この問題では、$a_{k+1}$ を $a_k$ だけで表そうとすると平方根の分母が変わるため扱いにくい。そこで、分子の和をいったん
$$ 1+\sqrt{2}+\cdots+\sqrt{k}>\frac{2k\sqrt{k}}{3}
$$
と評価してから、$a_{k+1}$ に代入するのが自然である。
最後に必要になる評価は
$$ \sqrt{\frac{k}{k+1}}>1-\frac{1}{2k}
$$
である。この不等式を補助的に示すことで、帰納法のステップが閉じる。
答え
すべての自然数 $n$ について、
$$ \frac{2n}{3}<a_n
$$
が成り立つ。