基礎問題集
数学B 数列「数学的帰納法」の問題12 解説
数学Bの数列「数学的帰納法」にある問題12の基礎問題と解説ページです。問題と保存済み解説を公開し、ログイン後はAI質問と学習履歴も利用できます。
MathGrAIl の基礎問題集にある公開問題ページです。ログイン前でも問題と保存済み解説を確認でき、ログイン後はAI質問と学習履歴の保存を利用できます。
- 基礎問題の問題画像と保存済み解説を公開
- ログイン後にAI質問で復習
- ログイン後に学習履歴を保存
解説
方針・初手
中央二項係数
$$ {}_{2n}C_n={}_{2n}\mathrm{C}_{n}
$$
を、積の形と二項定理の両方から評価する。下からは積表示で各因子が $2$ 以上であることを使い、上からは二項展開のすべての係数の和が $4^n$ であることを使う。
解法1
まず、二項係数を積の形で表すと、
$$ \begin{aligned} {}_{2n}\mathrm{C}_{n} &= \frac{(2n)!}{n!n!} \\ \frac{(n+1)(n+2)\cdots(2n)}{1\cdot 2\cdots n} \\ \prod_{k=1}^{n}\frac{n+k}{k} \end{aligned} $$
である。
ここで、$1\leqq k\leqq n$ より $n\geqq k$ であるから、
$$ n+k\geqq 2k
$$
が成り立つ。したがって、
$$ \frac{n+k}{k}\geqq 2
$$
である。これを $k=1,2,\ldots,n$ について掛け合わせると、
$$ \begin{aligned} {}_{2n}\mathrm{C}_{n} &= \prod_{k=1}^{n}\frac{n+k}{k} \geqq \prod_{k=1}^{n}2 &= 2^n \end{aligned} $$
となる。よって、
$$ 2^n\leqq {}_{2n}\mathrm{C}_{n}
$$
が示された。
次に、二項定理より、
$$ \begin{aligned} (1+1)^{2n} &= \sum_{k=0}^{2n}{}_{2n}\mathrm{C}_{k} \end{aligned} $$
である。左辺は
$$ (1+1)^{2n}=2^{2n}=4^n
$$
であるから、
$$ \begin{aligned} 4^n &= \sum_{k=0}^{2n}{}_{2n}\mathrm{C}_{k} \end{aligned} $$
である。
各二項係数 ${}_{2n}\mathrm{C}_{k}$ は正であり、${}_{2n}\mathrm{C}_{n}$ はその和の中の1項である。したがって、
$$ \begin{aligned} {}_{2n}\mathrm{C}_{n} \leqq \sum_{k=0}^{2n}{}_{2n}\mathrm{C}_{k} &= 4^n \end{aligned} $$
となる。
以上より、
$$ 2^n\leqq {}_{2n}\mathrm{C}_{n}\leqq 4^n
$$
が成り立つ。
解法2
数学的帰納法で示すこともできる。
$$ a_n={}_{2n}\mathrm{C}_{n}
$$
とおく。
まず $n=1$ のとき、
$$ a_1={}_{2}\mathrm{C}_{1}=2
$$
であるから、
$$ 2^1\leqq a_1\leqq 4^1
$$
が成り立つ。
次に、$a_n$ と $a_{n+1}$ の比を調べる。
$$ \begin{aligned} \frac{a_{n+1}}{a_n} &= \frac{{}_{2n+2}\mathrm{C}_{n+1}}{{}_{2n}\mathrm{C}_{n}} \\ \frac{(2n+2)(2n+1)}{(n+1)^2} \\ \frac{2(2n+1)}{n+1} \end{aligned} $$
である。
ここで $n\geqq 1$ のとき、
$$ 2\leqq \frac{2(2n+1)}{n+1}\leqq 4
$$
が成り立つ。実際、左側は
$$ \frac{2(2n+1)}{n+1}\geqq 2 \iff 2n+1\geqq n+1 \iff n\geqq 0
$$
であり、右側は
$$ \frac{2(2n+1)}{n+1}\leqq 4 \iff 2n+1\leqq 2n+2
$$
であるから、ともに成り立つ。
したがって、
$$ 2a_n\leqq a_{n+1}\leqq 4a_n
$$
である。
帰納法の仮定として
$$ 2^n\leqq a_n\leqq 4^n
$$
が成り立つとする。このとき、
$$ a_{n+1}\geqq 2a_n\geqq 2\cdot 2^n=2^{n+1}
$$
であり、また
$$ a_{n+1}\leqq 4a_n\leqq 4\cdot 4^n=4^{n+1}
$$
である。
よって、
$$ 2^{n+1}\leqq a_{n+1}\leqq 4^{n+1}
$$
が成り立つ。
以上より、数学的帰納法によって、すべての自然数 $n$ について
$$ 2^n\leqq {}_{2n}\mathrm{C}_{n}\leqq 4^n
$$
が成り立つ。
解説
下限 $2^n$ は、中央二項係数を
$$ \begin{aligned} {}_{2n}\mathrm{C}_{n} &= \prod_{k=1}^{n}\frac{n+k}{k} \end{aligned} $$
と見て、各因子が $2$ 以上であることから得られる。
上限 $4^n$ は、二項定理
$$ \sum_{k=0}^{2n}{}_{2n}\mathrm{C}_{k}=4^n
$$
において、${}_{2n}\mathrm{C}_{n}$ がその和の中の1項であることから得られる。
この問題では、${}_{2n}\mathrm{C}_{n}$ を単に計算するのではなく、「積表示で下から評価する」「二項係数の和で上から評価する」という2つの見方を使い分けることが重要である。
答え
すべての自然数 $n$ について、
$$ 2^n\leqq {}_{2n}C_n\leqq 4^n
$$
が成り立つ。