基礎問題集
数学B 数列「数学的帰納法」の問題50 解説
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解説
方針・初手
(1) は、与えられた 2 点の重み付き平均に関する不等式を、数学的帰納法で $N$ 点の場合に拡張する。
(2) は、多角形 $OP_0P_1\cdots P_N$ を、三角形 $OP_{k-1}P_k$ に分割して面積を足す。
(3) は、(2) で得た式
$$ S=\frac{r^2}{2}\sum_{k=1}^{N}\sin\theta_k
$$
を最大化する問題である。ここで
$$ \theta_1+\theta_2+\cdots+\theta_N=\alpha
$$
であり、$\sin x$ が $0<x<\pi$ で上に凸であることから、(1) を利用する。
解法1
(1)
まず、$N=1$ のときは
$$ f(x_1)=f(x_1)
$$
であるから成り立つ。
$N$ 個の場合に
$$ f\left(\frac{x_1+x_2+\cdots+x_N}{N}\right) \ge \frac{f(x_1)+f(x_2)+\cdots+f(x_N)}{N}
$$
が成り立つと仮定する。
$N+1$ 個の実数 $x_1,x_2,\ldots,x_N,x_{N+1}$ に対して
$$ y=\frac{x_1+x_2+\cdots+x_N}{N}
$$
とおく。$x_1,\ldots,x_N$ はすべて $[a,b]$ にあるので、$y$ も $[a,b]$ にある。
このとき
$$ \begin{aligned} \frac{x_1+x_2+\cdots+x_N+x_{N+1}}{N+1} &= \frac{Ny+x_{N+1}}{N+1} \end{aligned} $$
である。
与えられた不等式 (ア) において、$x=y,\ x'=x_{N+1},\ m=1,\ n=N$ とすると、
$$ f\left(\frac{Ny+x_{N+1}}{N+1}\right) \ge \frac{Nf(y)+f(x_{N+1})}{N+1}
$$
が成り立つ。
帰納法の仮定より
$$ \begin{aligned} f(y) &= f\left(\frac{x_1+x_2+\cdots+x_N}{N}\right) \ge \frac{f(x_1)+f(x_2)+\cdots+f(x_N)}{N} \end{aligned} $$
であるから、
$$ Nf(y) \ge f(x_1)+f(x_2)+\cdots+f(x_N)
$$
となる。したがって
$$ \begin{aligned} f\left(\frac{x_1+x_2+\cdots+x_N+x_{N+1}}{N+1}\right) &\ge \frac{Nf(y)+f(x_{N+1})}{N+1} \\ &\ge \frac{f(x_1)+f(x_2)+\cdots+f(x_N)+f(x_{N+1})}{N+1} \end{aligned}
$$
である。
よって、数学的帰納法により、すべての自然数 $N$ に対して
$$ f\left(\frac{x_1+x_2+\cdots+x_N}{N}\right) \ge \frac{f(x_1)+f(x_2)+\cdots+f(x_N)}{N}
$$
が成り立つ。
(2)
点 $P_0,P_1,\ldots,P_N$ は、中心 $O$、半径 $r$ の半円弧上に順に並んでいる。
多角形 $OP_0P_1\cdots P_N$ は、三角形
$$ OP_0P_1,\ OP_1P_2,\ \ldots,\ OP_{N-1}P_N
$$
に分割できる。
各 $k=1,2,\ldots,N$ に対して、三角形 $OP_{k-1}P_k$ では
$$ OP_{k-1}=OP_k=r,\qquad \angle P_{k-1}OP_k=\theta_k
$$
である。したがって、その面積は
$$ \frac{1}{2}r^2\sin\theta_k
$$
である。
よって、多角形全体の面積 $S$ は
$$ \begin{aligned} S = \\ \sum_{k=1}^{N}\frac{1}{2}r^2\sin\theta_k \\ \frac{r^2}{2}\left(\sin\theta_1+\sin\theta_2+\cdots+\sin\theta_N\right) \end{aligned} $$
である。
(3)
点 $O,P_0,P_N$ は固定されているので、
$$ \angle P_0OP_N=\alpha
$$
は一定である。また、点 $P_0,P_1,\ldots,P_N$ は弧上に順に並ぶから、
$$ \theta_1+\theta_2+\cdots+\theta_N=\alpha
$$
である。
さらに $0<\alpha<\pi$ であり、各 $\theta_k$ は正であるから、
$$ 0<\theta_k<\pi
$$
である。
関数 $f(x)=\sin x$ は区間 $[0,\pi]$ において上に凸である。したがって、(1) の結果を $x_1=\theta_1,\ldots,x_N=\theta_N$ に適用すると、
$$ \sin\left(\frac{\theta_1+\theta_2+\cdots+\theta_N}{N}\right) \ge \frac{\sin\theta_1+\sin\theta_2+\cdots+\sin\theta_N}{N}
$$
である。
ここで $\theta_1+\theta_2+\cdots+\theta_N=\alpha$ より、
$$ \frac{\sin\theta_1+\sin\theta_2+\cdots+\sin\theta_N}{N} \le \sin\frac{\alpha}{N}
$$
となる。したがって
$$ \sin\theta_1+\sin\theta_2+\cdots+\sin\theta_N \le N\sin\frac{\alpha}{N}
$$
である。
(2) より
$$ S=\frac{r^2}{2}\left(\sin\theta_1+\sin\theta_2+\cdots+\sin\theta_N\right)
$$
だから、
$$ S\le \frac{r^2}{2}N\sin\frac{\alpha}{N}
$$
である。
等号は
$$ \theta_1=\theta_2=\cdots=\theta_N=\frac{\alpha}{N}
$$
のときに成り立つ。このような点 $P_1,\ldots,P_{N-1}$ は、弧 $P_0P_N$ を中心角が等しくなるように $N$ 等分すれば実現できる。
したがって、$S$ の最大値 $T$ は
$$ T=\frac{Nr^2}{2}\sin\frac{\alpha}{N}
$$
である。
解説
(1) は、2 点に対する上に凸な関数の性質から、有限個の点に対する Jensen 型不等式を導く問題である。直接 $N$ 点を扱うのではなく、まず $N$ 個の平均を $y$ とおき、そこに $x_{N+1}$ を加える形にすると、与えられた (ア) をそのまま使える。
(2) では、円弧を含む図形の面積に見えるが、実際には中心 $O$ から各点へ線分を引いた三角形の和である。各三角形の面積が $\frac{1}{2}r^2\sin\theta_k$ になる点が重要である。
(3) は、面積最大化を角度の配分問題に直すところが核心である。$\theta_1+\cdots+\theta_N=\alpha$ が一定で、$\sin x$ が $[0,\pi]$ で上に凸であるため、和 $\sin\theta_1+\cdots+\sin\theta_N$ は、角度がすべて等しいときに最大になる。
答え
**(1)**
$$ f\left(\frac{x_1+x_2+\cdots+x_N}{N}\right) \ge \frac{f(x_1)+f(x_2)+\cdots+f(x_N)}{N}
$$
**(2)**
$$ S=\frac{r^2}{2}\left(\sin\theta_1+\sin\theta_2+\cdots+\sin\theta_N\right)
$$
**(3)**
$$ T=\frac{Nr^2}{2}\sin\frac{\alpha}{N}
$$