基礎問題集
数学B 数列「3項間漸化式」の問題7 解説
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解説
方針・初手
与えられた漸化式は、フィボナッチ数列に現れるカッシーニの恒等式と同じ形をしている。まず数項を計算して階差を求め、その後、$a_n$ がフィボナッチ数列で表されることを数学的帰納法で示す。
解法1
階差数列を $b_n=a_{n+1}-a_n$ とする。
まず $a_n$ を順に求める。
$$ a_1=1,\quad a_2=2
$$
$n=1$ のとき、
$$ a_3=\frac{a_2^2+(-1)^1}{a_1} =\frac{4-1}{1}=3
$$
$n=2$ のとき、
$$ a_4=\frac{a_3^2+(-1)^2}{a_2} =\frac{9+1}{2}=5
$$
$n=3$ のとき、
$$ a_5=\frac{a_4^2+(-1)^3}{a_3} =\frac{25-1}{3}=8
$$
$n=4$ のとき、
$$ a_6=\frac{a_5^2+(-1)^4}{a_4} =\frac{64+1}{5}=13
$$
したがって、
$$ \begin{aligned} a_1,a_2,a_3,a_4,a_5,a_6 &= 1,2,3,5,8,13 \end{aligned} $$
である。よって階差数列は
$$ \begin{aligned} b_1&=a_2-a_1=2-1=1,\\ b_2&=a_3-a_2=3-2=1,\\ b_3&=a_4-a_3=5-3=2,\\ b_4&=a_5-a_4=8-5=3,\\ b_5&=a_6-a_5=13-8=5 \end{aligned}
$$
となる。
次に、すべての自然数 $n$ に対して $a_n,b_n$ がともに正の整数であることを示す。
フィボナッチ数列 ${F_n}$ を
$$ F_0=0,\quad F_1=1,\quad F_{n+2}=F_{n+1}+F_n
$$
で定める。
このとき、カッシーニの恒等式
$$ F_{m+1}F_{m-1}-F_m^2=(-1)^m
$$
が成り立つ。実際、$m=1$ のとき
$$ F_2F_0-F_1^2=1\cdot 0-1^2=-1=(-1)^1
$$
で成り立つ。また、
$$ \begin{aligned} F_{m+2}F_m-F_{m+1}^2 &=(F_{m+1}+F_m)F_m-F_{m+1}^2\\ &=F_{m+1}F_m+F_m^2-F_{m+1}^2 \end{aligned}
$$
であり、これは
$$ \begin{aligned} F_{m+1}F_{m-1}-F_m^2 &= F_{m+1}(F_{m+1}-F_m)-F_m^2 \\ F_{m+1}^2-F_{m+1}F_m-F_m^2 \end{aligned} $$
の符号を反対にしたものである。したがって帰納的に
$$ F_{m+1}F_{m-1}-F_m^2=(-1)^m
$$
がすべての $m\geqq 1$ で成り立つ。
ここで、
$$ a_n=F_{n+1}
$$
であることを示す。
$n=1,2$ では
$$ a_1=1=F_2,\quad a_2=2=F_3
$$
である。
ある自然数 $n$ について
$$ a_n=F_{n+1},\quad a_{n+1}=F_{n+2}
$$
が成り立つとする。このとき、漸化式より
$$ \begin{aligned} a_{n+2} &= \frac{a_{n+1}^2+(-1)^n}{a_n} \\ \frac{F_{n+2}^2+(-1)^n}{F_{n+1}} \end{aligned} $$
である。
カッシーニの恒等式で $m=n+2$ とすると、
$$ F_{n+3}F_{n+1}-F_{n+2}^2=(-1)^{n+2}=(-1)^n
$$
であるから、
$$ F_{n+2}^2+(-1)^n=F_{n+1}F_{n+3}
$$
となる。よって、
$$ \begin{aligned} a_{n+2} &= \frac{F_{n+1}F_{n+3}}{F_{n+1}} \\ F_{n+3} \end{aligned} $$
である。
したがって、数学的帰納法により、すべての自然数 $n$ に対して
$$ a_n=F_{n+1}
$$
が成り立つ。
さらに、階差数列について
$$ b_n=a_{n+1}-a_n =F_{n+2}-F_{n+1} =F_n
$$
である。
フィボナッチ数列の各項 $F_n$ は $n\geqq 1$ で正の整数であるから、
$$ a_n=F_{n+1},\quad b_n=F_n
$$
はいずれも正の整数である。よって、すべての自然数 $n$ に対して、ベクトル $(a_n,b_n)$ の成分はともに正の整数である。
解説
この漸化式は一見すると分数を含むため、各項が整数になるかどうかが問題になる。しかし、計算すると
$$ 1,2,3,5,8,13,\ldots
$$
となり、フィボナッチ数列が現れることに気づく。
重要なのは、単に「フィボナッチ数列らしい」と見るだけでなく、漸化式
$$ a_{n+2}=\frac{a_{n+1}^2+(-1)^n}{a_n}
$$
がカッシーニの恒等式
$$ F_{n+3}F_{n+1}-F_{n+2}^2=(-1)^n
$$
と一致していることを確認する点である。これにより、分母で割り切れることも、正の整数になることも同時に示せる。
答え
**(1)**
$$ b_1=1,\quad b_2=1,\quad b_3=2,\quad b_4=3,\quad b_5=5
$$
**(2)**
すべての自然数 $n$ に対して
$$ a_n=F_{n+1},\quad b_n=F_n
$$
である。ただし、${F_n}$ は
$$ F_0=0,\quad F_1=1,\quad F_{n+2}=F_{n+1}+F_n
$$
で定まるフィボナッチ数列である。したがって、$a_n,b_n$ はともに正の整数であり、ベクトル $(a_n,b_n)$ の成分はともに正の整数である。