基礎問題集
数学C 複素数平面「複素数平面」の問題18 解説
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解説
方針・初手
条件に現れる比
$$ \frac{z-\beta}{z-\alpha}
$$
は、$z$ から $\alpha,\beta$ への距離の比と偏角を同時に表している。
偏角が $-\dfrac{\pi}{2}$ であることから、この比は負の虚軸上にある。そこで
$$ \frac{z-\beta}{z-\alpha}=-ri
$$
とおく。ただし
$$ \frac{1}{2}\leq r\leq 3
$$
である。
解法1
$$ \frac{z-\beta}{z-\alpha}=-ri
$$
より、
$$ z-\beta=-ri(z-\alpha)
$$
である。
ここで
$$ d=|\beta-\alpha|
$$
とおく。$\alpha\neq\beta$ より $d>0$ である。
上の式を変形すると、
$$ z-\beta=-ri(z-\alpha)
$$
だから、絶対値をとって
$$ |z-\beta|=r|z-\alpha|
$$
となる。
また、
$$ z-\beta=(z-\alpha)-(\beta-\alpha)
$$
であるから、
$$ (z-\alpha)-(\beta-\alpha)=-ri(z-\alpha)
$$
となる。したがって
$$ (1+ri)(z-\alpha)=\beta-\alpha
$$
である。
よって
$$ |1+ri||z-\alpha|=|\beta-\alpha|
$$
となり、
$$ \sqrt{1+r^2}|z-\alpha|=d
$$
である。したがって
$$ |z-\alpha|=\frac{d}{\sqrt{1+r^2}}
$$
であり、
$$ |z-\beta|=r|z-\alpha|=\frac{rd}{\sqrt{1+r^2}}
$$
となる。
よって、求める量を $S$ とすると、
$$ S=|z-\alpha|+|z-\beta| =\frac{(1+r)d}{\sqrt{1+r^2}}
$$
である。ただし
$$ \frac{1}{2}\leq r\leq 3
$$
である。
ここで
$$ f(r)=\frac{1+r}{\sqrt{1+r^2}}
$$
とおく。$r>0$ において微分すると、
$$ \begin{aligned} f'(r) &=\frac{1}{\sqrt{1+r^2}}-(1+r)\frac{r}{(1+r^2)^{3/2}}\\ &=\frac{1+r^2-r-r^2}{(1+r^2)^{3/2}}\\ &=\frac{1-r}{(1+r^2)^{3/2}} \end{aligned}
$$
である。
したがって、$f(r)$ は $0<r<1$ で増加し、$r>1$ で減少する。区間
$$ \frac{1}{2}\leq r\leq 3
$$
では、最大値は $r=1$ のときである。
$$ f(1)=\frac{2}{\sqrt{2}}=\sqrt{2}
$$
また、最小値は端点 $r=\dfrac{1}{2},3$ の値を比較すればよい。
$$ f\left(\frac{1}{2}\right) =\frac{1+\frac{1}{2}}{\sqrt{1+\frac{1}{4}}} =\frac{\frac{3}{2}}{\frac{\sqrt{5}}{2}} =\frac{3}{\sqrt{5}}
$$
$$ f(3)=\frac{4}{\sqrt{10}}
$$
ここで
$$ \left(\frac{3}{\sqrt{5}}\right)^2=\frac{9}{5},\qquad \left(\frac{4}{\sqrt{10}}\right)^2=\frac{8}{5}
$$
より、
$$ \frac{4}{\sqrt{10}}<\frac{3}{\sqrt{5}}
$$
である。
したがって、$S$ の取り得る値の範囲は
$$ \frac{4}{\sqrt{10}}d\leq S\leq \sqrt{2}d
$$
すなわち
$$ \frac{4}{\sqrt{10}}|\beta-\alpha| \leq |z-\alpha|+|z-\beta| \leq \sqrt{2}|\beta-\alpha|
$$
である。
次に、最小値をとる $z$ を求める。
最小値は $r=3$ のときにのみ得られる。したがって
$$ \frac{z-\beta}{z-\alpha}=-3i
$$
である。
これを解くと、
$$ z-\beta=-3i(z-\alpha)
$$
より、
$$ z+3iz=\beta+3i\alpha
$$
である。したがって
$$ (1+3i)z=\beta+3i\alpha
$$
となるので、
$$ z=\frac{\beta+3i\alpha}{1+3i}
$$
である。
解説
この問題の中心は、複素数の比
$$ \frac{z-\beta}{z-\alpha}
$$
を「距離の比」と「偏角の差」として読むことである。
偏角が $-\dfrac{\pi}{2}$ で、絶対値が $r$ であるから、この比を $-ri$ と置ける。この置き換えにより、$z$ の動きは $r$ という実数パラメータだけで表される。
その後は
$$ |z-\alpha|+|z-\beta|
$$
を $r$ の関数に直し、区間 $\dfrac{1}{2}\leq r\leq 3$ で最大値・最小値を調べればよい。
最小値をとる $z$ については、単に最小値を代入するだけでなく、最小値が $r=3$ でのみ得られることを確認する必要がある。
答え
**(1)**
$$ \frac{4}{\sqrt{10}}|\beta-\alpha| \leq |z-\alpha|+|z-\beta| \leq \sqrt{2}|\beta-\alpha|
$$
**(2)**
$$ z=\frac{\beta+3i\alpha}{1+3i}
$$