基礎問題集
数学C 複素数平面「複素数平面(図形問題)」の問題8 解説
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解説
方針・初手
すべての点が単位円 $|z|=1$ 上にあることを使う。特に、単位円上の点の和が $0$ になる条件は、図形的には「重心が原点にある」ことを意味する。
三角形については、正三角形の外心と重心が一致すること、または距離計算を用いる。四角形については、$z_1+z_2+z_3+z_4=0$ から、4点が2組の対蹠点、すなわち $a,-a,b,-b$ の形になることを示す。
解法1
(1)
$z_1,z_2,z_3$ はいずれも $|z|=1$ を満たすので、3点は原点を中心とする単位円上にある。
$z_1,z_2,z_3$ を頂点とする三角形が正三角形であるとき、その外心と重心は一致する。ここで、3点は単位円上にあるから、この三角形の外心は原点である。
複素数平面における三角形の重心は
$$ \frac{z_1+z_2+z_3}{3}
$$
で表される。これが原点に等しいので、
$$ \frac{z_1+z_2+z_3}{3}=0
$$
したがって、
$$ z_1+z_2+z_3=0
$$
である。
(2)
$z_1+z_2+z_3=0$ とする。このとき
$$ z_1+z_2=-z_3
$$
である。両辺の絶対値の2乗をとると、$|z_3|=1$ より
$$ |z_1+z_2|^2=1
$$
である。一方、
$$ \begin{aligned} |z_1+z_2|^2 &=(z_1+z_2)(\overline{z_1}+\overline{z_2})\\ &=|z_1|^2+|z_2|^2+z_1\overline{z_2}+\overline{z_1}z_2\\ &=2+2\operatorname{Re}(z_1\overline{z_2}) \end{aligned}
$$
であるから、
$$ 2+2\operatorname{Re}(z_1\overline{z_2})=1
$$
よって
$$ \operatorname{Re}(z_1\overline{z_2})=-\frac{1}{2}
$$
である。
したがって、
$$ \begin{aligned} |z_1-z_2|^2 &=(z_1-z_2)(\overline{z_1}-\overline{z_2})\\ &=|z_1|^2+|z_2|^2-z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2\\ &=2-2\operatorname{Re}(z_1\overline{z_2})\\ &=2-2\left(-\frac{1}{2}\right)\\ &=3 \end{aligned}
$$
となる。
同様に、$z_2+z_3=-z_1$、$z_3+z_1=-z_2$ から
$$ |z_2-z_3|^2=3,\qquad |z_3-z_1|^2=3
$$
も得られる。よって
$$ |z_1-z_2|=|z_2-z_3|=|z_3-z_1|=\sqrt{3}
$$
である。
したがって、$z_1,z_2,z_3$ を頂点とする三角形は正三角形である。
(3)
$z_1+z_2+z_3+z_4=0$ とする。4点はすべて単位円上にあり、また互いに異なる。
4つの複素数 $z_1,z_2,z_3,z_4$ を根にもつ多項式を
$$ f(z)=(z-z_1)(z-z_2)(z-z_3)(z-z_4)
$$
とおく。展開すると
$$ f(z)=z^4-s_1z^3+s_2z^2-s_3z+s_4
$$
ただし
$$ s_1=z_1+z_2+z_3+z_4
$$
である。仮定より $s_1=0$ である。
次に、$s_3$ を調べる。$s_4=z_1z_2z_3z_4$ とすると、
$$ \begin{aligned} s_3 &=z_1z_2z_3+z_1z_2z_4+z_1z_3z_4+z_2z_3z_4\\ &=s_4\left(\frac{1}{z_1}+\frac{1}{z_2}+\frac{1}{z_3}+\frac{1}{z_4}\right) \end{aligned}
$$
である。ここで $|z_k|=1$ より
$$ \frac{1}{z_k}=\overline{z_k}
$$
であるから、
$$ \begin{aligned} s_3 &=s_4(\overline{z_1}+\overline{z_2}+\overline{z_3}+\overline{z_4})\\ &=s_4\overline{z_1+z_2+z_3+z_4}\\ &=s_4\cdot 0\\ &=0 \end{aligned}
$$
となる。
よって
$$ f(z)=z^4+s_2z^2+s_4
$$
であり、$f(z)$ は $z$ の偶関数である。すなわち
$$ f(-z)=f(z)
$$
が成り立つ。
したがって、ある $z_k$ が $f(z)=0$ の根ならば、$-z_k$ もまた根である。4つの根は互いに異なるので、4点は
$$ a,\ -a,\ b,\ -b
$$
の形に分けられる。
これは、単位円上で2組の対蹠点があることを意味する。したがって、対応する2本の対角線はどちらも単位円の直径であり、いずれも原点を中点にもつ。
四角形を円周上の順に結ぶと、その2本の対角線は互いに中点で交わるので、この四角形は平行四辺形である。また、2本の対角線はいずれも直径であるから、長さはともに $2$ で等しい。
対角線が等しい平行四辺形は長方形である。よって、$z_1,z_2,z_3,z_4$ を頂点とする四角形は長方形である。
解説
この問題の中心は、$|z|=1$ が「単位円上の点」を表すことを使う点にある。
**(1)**
は、正三角形の外心と重心が一致することを使えばすぐに示せる。3点が単位円上にあるため、外心は原点であり、したがって重心も原点になる。
**(2)**
は、和が $0$ であることを距離に変換するのが要点である。$z_1+z_2=-z_3$ として絶対値の2乗を取ることで、2点間の距離がすべて $\sqrt{3}$ になることが分かる。
**(3)**
は、4点の和が $0$ であるだけでは図形的に少し見えにくい。そこで、4点を根にもつ多項式を考えると、$z^3$ と $z$ の係数が消え、偶関数になる。これにより、根が $z$ なら $-z$ も根であることが分かる。つまり4点は2組の対蹠点であり、そこから長方形が従う。
答え
**(1)**
$z_1,z_2,z_3$ を頂点とする三角形が正三角形ならば、
$$ z_1+z_2+z_3=0
$$
である。
**(2)**
$z_1+z_2+z_3=0$ ならば、
$$ |z_1-z_2|=|z_2-z_3|=|z_3-z_1|
$$
となるので、$z_1,z_2,z_3$ を頂点とする三角形は正三角形である。
**(3)**
$z_1+z_2+z_3+z_4=0$ ならば、4点は
$$ a,\ -a,\ b,\ -b
$$
の形に分かれる。したがって、円周上の順に結んだ四角形の対角線は等しい直径であり、互いに中点で交わる。よって、この四角形は長方形である。