基礎問題集
数学C 複素数平面「複素数平面(図形問題)」の問題9 解説
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解説
方針・初手
$1$ と $-1$ を通る円に関する条件は、点 $u$ から線分 $[-1,1]$ を見る角で表すのが自然である。
そこで
$$ T(u)=\frac{u-1}{u+1}
$$
を考える。これは点 $u$ から $-1,1$ を見る偏角を表す量であり、$1,z,-1,w$ が同一円周上にある条件は $T(z)$ と $T(w)$ の偏角が $\pi$ の整数倍だけ異なることに対応する。
解法1
**(1)**
$z,w$ は虚部をもつので、$z,w\neq \pm 1$ である。
点 $u$ から $-1,1$ を見る有向角は
$$ \arg \frac{1-u}{-1-u} = \arg \frac{u-1}{u+1}
$$
で表される。
したがって、$1,z,-1,w$ が同一円周上にあることは、弦 $[-1,1]$ に対する円周角が等しいことと同値であり、
$$ \arg \frac{z-1}{z+1} \equiv \arg \frac{w-1}{w+1} \pmod{\pi}
$$
と表せる。これは
$$ \frac{\dfrac{z-1}{z+1}}{\dfrac{w-1}{w+1}} \in \mathbb{R}
$$
と同値である。
ここで
$$ \begin{aligned} \frac{\dfrac{z-1}{z+1}}{\dfrac{w-1}{w+1}} &= \frac{(w+1)(z-1)}{(w-1)(z+1)}\\ &= \frac{(1+w)(1-z)}{(1-w)(1+z)} \end{aligned} $$
である。よって、$1,z,-1,w$ が同一円周上にあるための条件は、この値が実数であることである。
さらに、$u=X+Yi$ とおくと、
$$ \begin{aligned} \frac{u-1}{u+1} &= \frac{(X-1)+Yi}{(X+1)+Yi}\\ &= \frac{X^2+Y^2-1+2Yi}{(X+1)^2+Y^2} \end{aligned} $$
であるから、
$$ \operatorname{Im}\frac{u-1}{u+1} = \frac{2Y}{(X+1)^2+Y^2}
$$
となる。
したがって、$z$ の虚部が正であることから $T(z)$ の虚部は正、$w$ の虚部が負であることから $T(w)$ の虚部は負である。
このとき $T(z)/T(w)$ が実数であるなら、$T(z)$ と $T(w)$ は原点を通る同一直線上にある。しかも虚部の符号が反対なので、同じ向きではなく反対向きである。よって
$$ \frac{T(z)}{T(w)}<0
$$
である。
以上より、$1,z,-1,w$ が複素数平面の同一円周上にあるための必要十分条件は
$$ \frac{(1+w)(1-z)}{(1-w)(1+z)}
$$
が負の実数となることである。
**(2)**
$$ w=\frac{1+z^2}{2}
$$
とおく。このとき $z=x+yi$、$x<0$、$y>0$ であるから、
$$ \operatorname{Im}w=\operatorname{Im}\frac{1+z^2}{2}=xy<0
$$
である。よって、(1) の条件をそのまま用いることができる。
まず、
$$ 1+w=1+\frac{1+z^2}{2}=\frac{z^2+3}{2}
$$
また、
$$ 1-w=1-\frac{1+z^2}{2}=\frac{1-z^2}{2}
$$
である。したがって、
$$ \frac{(1+w)(1-z)}{(1-w)(1+z)} = \frac{\dfrac{z^2+3}{2}(1-z)}{\dfrac{1-z^2}{2}(1+z)}
$$
である。
ここで $z\neq 1$ なので、$1-z^2=(1-z)(1+z)$ を用いて整理すると、
$$ \frac{(1+w)(1-z)}{(1-w)(1+z)} = \frac{z^2+3}{(1+z)^2}
$$
となる。
よって、求める条件は
$$ \frac{z^2+3}{(1+z)^2}
$$
が負の実数となることである。
$z=x+yi$ とおくと、
$$ z^2+3=x^2-y^2+3+2xyi
$$
また、
$$ (1+z)^2=(x+1)^2-y^2+2(x+1)yi
$$
である。計算すると、
$$ \operatorname{Im}\frac{z^2+3}{(1+z)^2} = \frac{2y(x^2-2x+y^2-3)}{{(x+1)^2+y^2}^2}
$$
となる。
ここで $y>0$ であり、分母は正であるから、この値が実数となる条件は
$$ x^2-2x+y^2-3=0
$$
である。すなわち、
$$ (x-1)^2+y^2=4
$$
を得る。
次に、この実数が負であることを確認する。上の円上では
$$ y^2=3+2x-x^2
$$
であるから、実部を計算すると
$$ \operatorname{Re}\frac{z^2+3}{(1+z)^2} = \frac{x}{x+1}
$$
となる。
また、
$$ (x-1)^2+y^2=4,\qquad y>0
$$
より、$x$ の範囲は
$$ -1<x<3
$$
である。これに条件 $x<0$ を合わせると、
$$ -1<x<0
$$
である。
したがって
$$ \frac{x}{x+1}<0
$$
となり、確かに負の実数である。
よって、求める軌跡は
$$ (x-1)^2+y^2=4,\qquad -1<x<0,\qquad y>0
$$
である。
これは、中心 $(1,0)$、半径 $2$ の円のうち、第2象限にある弧であり、端点 $(-1,0)$ と $(0,\sqrt{3})$ は含まない。
解説
この問題の本質は、$1$ と $-1$ を通る円を、複素数
$$ \frac{u-1}{u+1}
$$
の偏角で処理する点にある。
単に「実数になる」とするだけでは不十分で、$z$ が上半平面、$w$ が下半平面にあるため、対応する点は原点を通る直線上で反対向きになる。したがって「負の実数」という符号条件まで必要になる。
**(2)**
では、(1) の結果を使うと円周条件が
$$ \frac{z^2+3}{(1+z)^2}\in \mathbb{R}_{<0}
$$
に落ちる。虚部を $0$ とすることで円
$$ (x-1)^2+y^2=4
$$
が出て、最後に $x<0,y>0$ の範囲を反映して弧だけを取り出すことが重要である。
答え
**(1)**
$1,z,-1,w$ が同一円周上にあるための必要十分条件は
$$ \frac{(1+w)(1-z)}{(1-w)(1+z)}
$$
が負の実数となることである。
**(2)**
複素数 $z=x+yi$ の軌跡は
$$ (x-1)^2+y^2=4,\qquad -1<x<0,\qquad y>0
$$
である。
すなわち、中心 $(1,0)$、半径 $2$ の円のうち、第2象限にある弧で、端点 $(-1,0)$ と $(0,\sqrt{3})$ は含まない。