基礎問題集
数学C 複素数平面「複素数平面(図形問題)」の問題15 解説
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解説
方針・初手
正三角形を作る操作は、複素数平面では辺のベクトルに $60^\circ$ 回転を掛けることで表せる。
ここでは
$$ \omega=\cos\frac{\pi}{3}+i\sin\frac{\pi}{3}=\frac{1+\sqrt{3}i}{2},\qquad \overline{\omega}=\frac{1-\sqrt{3}i}{2}
$$
とおく。
$\operatorname{Im} z>0$ なので、三角形 $OPQ$ は反時計回りに並ぶ。したがって、$\triangle OPQ$ の外側に正三角形を作るには、各辺を進む向きに対して右側、すなわち $-\dfrac{\pi}{3}$ 回転を使えばよい。
解法1
まず、各正三角形の第3の頂点を複素数で表す。
辺 $OP$ については、$O=0,\ P=2$ であり、外側は実軸の下側である。よって
$$ R=2\overline{\omega}=1-\sqrt{3}i
$$
である。
したがって、$\triangle OPR$ の重心 $U$ は
$$ U=\frac{0+2+2\overline{\omega}}{3} =\frac{2(1+\overline{\omega})}{3} =1-\frac{\sqrt{3}}{3}i
$$
となる。
次に、辺 $PQ$ について考える。$P=2,\ Q=2z$ であるから、$P$ から $Q$ へのベクトルは $2z-2$ である。外側に作る正三角形の第3の頂点 $S$ は
$$ S=2+(2z-2)\overline{\omega}
$$
である。
よって、$\triangle PQS$ の重心 $V$ は
$$ \begin{aligned} V &=\frac{2+2z+{2+(2z-2)\overline{\omega}}}{3} \\ &=\frac{4+2z+2(z-1)\overline{\omega}}{3} \\ &=1+\frac{\sqrt{3}}{3}i+\left(1-\frac{\sqrt{3}}{3}i\right)z \end{aligned}
$$
である。
最後に、辺 $QO$ について考える。$Q=2z,\ O=0$ であるから、$Q$ から $O$ へのベクトルは $-2z$ である。外側に作る正三角形の第3の頂点 $T$ は
$$ T=2z+(-2z)\overline{\omega} =2z(1-\overline{\omega}) =2\omega z
$$
である。
よって、$\triangle QOT$ の重心 $W$ は
$$ W=\frac{2z+0+2\omega z}{3} =\frac{2(1+\omega)z}{3} =\left(1+\frac{\sqrt{3}}{3}i\right)z
$$
である。
以上より
$$ U=1-\frac{\sqrt{3}}{3}i,\qquad V=1+\frac{\sqrt{3}}{3}i+\left(1-\frac{\sqrt{3}}{3}i\right)z,\qquad W=\left(1+\frac{\sqrt{3}}{3}i\right)z
$$
である。
次に、$\triangle UVW$ が正三角形であることを示す。
$U,V,W$ の式から
$$ V-U=\frac{2\sqrt{3}}{3}i+\left(1-\frac{\sqrt{3}}{3}i\right)z
$$
であり、
$$ W-U=\left(1+\frac{\sqrt{3}}{3}i\right)z-\left(1-\frac{\sqrt{3}}{3}i\right)
$$
である。
ここで
$$ \overline{\omega}=\frac{1-\sqrt{3}i}{2}
$$
を用いると、直接計算により
$$ V-U=\overline{\omega}(W-U)
$$
が成り立つ。
実際、$\overline{\omega}$ は絶対値 $1$、偏角 $-\dfrac{\pi}{3}$ の複素数である。したがって、点 $U$ から点 $W$ へ向かうベクトルを $60^\circ$ 回転して長さを変えないものが、点 $U$ から点 $V$ へ向かうベクトルである。
よって
$$ |V-U|=|W-U|
$$
かつ
$$ \arg(V-U)-\arg(W-U)=-\frac{\pi}{3}
$$
であるから、$\triangle UVW$ は正三角形である。
次に、$\triangle UVW$ の重心を $G$ とする。
$$ \begin{aligned} G &=\frac{U+V+W}{3} \\ &=\frac{1}{3}\left\{ 1-\frac{\sqrt{3}}{3}i +1+\frac{\sqrt{3}}{3}i+\left(1-\frac{\sqrt{3}}{3}i\right)z +\left(1+\frac{\sqrt{3}}{3}i\right)z \right\} \\ &=\frac{1}{3}(2+2z) \\ &=\frac{2}{3}(1+z) \end{aligned}
$$
である。
$G$ を表す複素数を $g$ とすると
$$ g=\frac{2}{3}(1+z)
$$
であるから
$$ z=\frac{3}{2}g-1
$$
である。
条件
$$ |z-i|=\frac{1}{2}
$$
に代入すると
$$ \left|\frac{3}{2}g-1-i\right|=\frac{1}{2}
$$
となる。両辺を整理して
$$ \left|g-\frac{2}{3}(1+i)\right|=\frac{1}{3}
$$
を得る。
したがって、$G$ の軌跡は、複素数平面上で中心
$$ \frac{2}{3}+\frac{2}{3}i
$$
半径
$$ \frac{1}{3}
$$
の円である。
これは、座標平面でいえば中心 $\left(\dfrac{2}{3},\dfrac{2}{3}\right)$、半径 $\dfrac{1}{3}$ の円である。円は実部が $\dfrac{1}{3}$ から $1$、虚部が $\dfrac{1}{3}$ から $1$ の範囲にある。
解説
この問題の中心は、正三角形を複素数の回転で表すことである。
特に、$\operatorname{Im} z>0$ であるため、$\triangle OPQ$ は反時計回りに配置される。したがって、各辺の外側に正三角形を作るには、辺の向きに対して $-60^\circ$ 回転を使う。この向きの取り違えが最も起こりやすい。
また、(2) はナポレオンの定理の具体例である。外側に作った3つの正三角形の重心を結ぶと、常に正三角形になる。ここでは定理として使わず、複素数の式から
$$ V-U=\overline{\omega}(W-U)
$$
を示すことで証明している。
(3) では、$\triangle UVW$ の重心が
$$ G=\frac{2}{3}(1+z)
$$
と非常に簡単に表される点が重要である。これは $z$ の円運動を、平行移動と拡大縮小によって別の円へ移すだけである。
答え
**(1)**
$$ U=1-\frac{\sqrt{3}}{3}i
$$
$$ V=1+\frac{\sqrt{3}}{3}i+\left(1-\frac{\sqrt{3}}{3}i\right)z
$$
$$ W=\left(1+\frac{\sqrt{3}}{3}i\right)z
$$
**(2)**
$$ V-U=\overline{\omega}(W-U)
$$
が成り立つ。ただし
$$ \overline{\omega}=\frac{1-\sqrt{3}i}{2}
$$
は絶対値 $1$、偏角 $-\dfrac{\pi}{3}$ の複素数である。よって $\triangle UVW$ は正三角形である。
**(3)**
$\triangle UVW$ の重心 $G$ の軌跡は
$$ \left|G-\frac{2}{3}(1+i)\right|=\frac{1}{3}
$$
である。
すなわち、中心 $\dfrac{2}{3}+\dfrac{2}{3}i$、半径 $\dfrac{1}{3}$ の円である。