基礎問題集
数学C 複素数平面「複素数平面(軌跡問題)」の問題26 解説
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解説
方針・初手
$D_1$ は「原点」と「点 $3+3i$」からの距離比較であるから、まず $z=x+yi$ とおいて半平面として表す。
$D_2$ は $w=2+i+\dfrac{6}{z}$ による $D_1$ の像である。$u=w-2-i$ とおくと $z=\dfrac{6}{u}$ と戻せるので、$D_1$ の条件を $u$ の条件に直す。
解法1
(1) $z_1$ の極形式
$$ z_1=\frac{\sqrt6}{4}-\frac{3\sqrt2}{4}i
$$
について、絶対値は
$$ \left|z_1\right| =\sqrt{\left(\frac{\sqrt6}{4}\right)^2+\left(-\frac{3\sqrt2}{4}\right)^2} =\sqrt{\frac{6}{16}+\frac{18}{16}} =\sqrt{\frac32} =\frac{\sqrt6}{2}
$$
である。
また、実部は正、虚部は負であり、
$$ \tan \arg z_1 = \frac{-\frac{3\sqrt2}{4}}{\frac{\sqrt6}{4}} =-\frac{3\sqrt2}{\sqrt6} =-\sqrt3
$$
だから、
$$ \arg z_1=-\frac{\pi}{3}
$$
と取れる。したがって、
$$ z_1=\frac{\sqrt6}{2}\left(\cos\left(-\frac{\pi}{3}\right)+i\sin\left(-\frac{\pi}{3}\right)\right)
$$
である。
(2) $D_1$ の図示
$z=x+yi$ とおく。条件
$$ |z-3-3i|\le |z|
$$
は
$$ (x-3)^2+(y-3)^2\le x^2+y^2
$$
である。展開して整理すると、
$$ x^2-6x+9+y^2-6y+9\le x^2+y^2
$$
より、
$$ -6x-6y+18\le 0
$$
すなわち
$$ x+y\ge 3
$$
となる。
よって $D_1$ は、直線
$$ x+y=3
$$
を境界とし、原点を含まない側の半平面である。境界線も含む。
(3) $D_2$ の図示
$u=w-2-i$ とおくと、
$$ w=2+i+u,\qquad u=\frac{6}{z}
$$
である。したがって $u\ne 0$ であり、
$$ z=\frac{6}{u}
$$
と表せる。
$u=a+bi$ とおくと、
$$ z=\frac{6}{a+bi} =\frac{6(a-bi)}{a^2+b^2}
$$
だから、
$$ \operatorname{Re}z=\frac{6a}{a^2+b^2},\qquad \operatorname{Im}z=-\frac{6b}{a^2+b^2}
$$
である。
$z\in D_1$ の条件は
$$ \operatorname{Re}z+\operatorname{Im}z\ge 3
$$
なので、
$$ \frac{6a-6b}{a^2+b^2}\ge 3
$$
となる。$a^2+b^2>0$ より、
$$ 6a-6b\ge 3(a^2+b^2)
$$
すなわち
$$ a^2+b^2-2a+2b\le 0
$$
である。平方完成すると、
$$ (a-1)^2+(b+1)^2\le 2
$$
となる。
ここで $w=2+i+u$ であるから、$u$ 平面で中心 $1-i$、半径 $\sqrt2$ の円板は、$w$ 平面では中心
$$ 2+i+(1-i)=3
$$
半径 $\sqrt2$ の円板に移る。
ただし $u=0$ はとれないので、$w=2+i$ は除かれる。
したがって $D_2$ は
$$ |w-3|\le \sqrt2
$$
で表される円板から、点 $2+i$ を除いた領域である。すなわち、中心 $3$、半径 $\sqrt2$ の円の内部および周上から、点 $2+i$ だけを除いた領域である。
(4) $\tan(\arg\alpha)$ の範囲
$\alpha=x+yi$ とおく。$D=D_1\cap D_2$ であるから、$\alpha$ は
$$ x+y\ge 3
$$
かつ
$$ (x-3)^2+y^2\le 2
$$
を満たす。ただし点 $2+i$ は除かれる。
円
$$ (x-3)^2+y^2\le 2
$$
では
$$ x\ge 3-\sqrt2>0
$$
であるから、$\tan(\arg\alpha)$ は
$$ \tan(\arg\alpha)=\frac{y}{x}
$$
と表せる。
そこで
$$ t=\frac{y}{x}
$$
とおき、直線
$$ y=tx
$$
が領域 $D$ と交わる条件を調べる。
円との交点条件は
$$ (x-3)^2+t^2x^2\le 2
$$
すなわち
$$ (1+t^2)x^2-6x+7\le 0
$$
である。この二次不等式が実数解をもつには、判別式より
$$ 36-28(1+t^2)\ge 0
$$
でなければならない。したがって
$$ 8-28t^2\ge 0
$$
より、
$$ t^2\le \frac{2}{7}
$$
である。
ただし、これは円板だけを見た条件であり、さらに半平面
$$ x+y\ge 3
$$
を満たす必要がある。
境界直線 $x+y=3$ と円
$$ (x-3)^2+y^2=2
$$
の交点を求める。$y=3-x$ を代入すると、
$$ (x-3)^2+(3-x)^2=2
$$
より、
$$ 2(x-3)^2=2
$$
である。したがって
$$ x=2,\ 4
$$
であり、交点は
$$ 2+i,\qquad 4-i
$$
である。
$D$ は、中心 $3$、半径 $\sqrt2$ の円板のうち、直線 $x+y=3$ の上側である。したがって傾きの最小値は、原点と点 $4-i$ を結ぶ直線で与えられ、
$$ t_{\min}=\frac{-1}{4}=-\frac14
$$
である。
一方、傾きの最大値は、原点から円
$$ (x-3)^2+y^2=2
$$
へ引いた上側の接線で与えられる。直線 $y=tx$ と円が接する条件は、先ほどの二次方程式
$$ (1+t^2)x^2-6x+7=0
$$
の判別式が $0$ であることだから、
$$ 36-28(1+t^2)=0
$$
より、
$$ t^2=\frac{2}{7}
$$
である。上側の接線なので、
$$ t_{\max}=\sqrt{\frac{2}{7}}
$$
である。
なお、除かれる点 $2+i$ における傾きは $\dfrac12$ であるが、同じ傾きの直線は領域 $D$ と他の点でも交わる。したがって $\dfrac12$ が範囲から除かれることはない。
よって、
$$ -\frac14\le \tan(\arg\alpha)\le \sqrt{\frac27}
$$
である。
(5) $(z_1)^n$ が $D$ に含まれる最小の $n$
**(1)**
より、
$$ z_1=\frac{\sqrt6}{2}\left(\cos\left(-\frac{\pi}{3}\right)+i\sin\left(-\frac{\pi}{3}\right)\right)
$$
である。したがって、ド・モアブルの定理より、
$$ (z_1)^n = \left(\frac{\sqrt6}{2}\right)^n \left(\cos\left(-\frac{n\pi}{3}\right)+i\sin\left(-\frac{n\pi}{3}\right)\right)
$$
である。
偏角は $6$ 回ごとに一周する。小さい $n$ から調べる。
**(i)**
$n=1$
偏角は $-\dfrac{\pi}{3}$ であり、点は第4象限にある。実際、
$$ x+y<3
$$
となるので $D_1$ に含まれない。
**(ii)**
$n=2$
偏角は $-\dfrac{2\pi}{3}$ であり、実部が負である。したがって $D$ に含まれない。
**(iii)**
$n=3$
偏角は $-\pi$ であり、負の実軸上にある。したがって $D$ に含まれない。
**(iv)**
$n=4$
偏角は $-\dfrac{4\pi}{3}$、すなわち $\dfrac{2\pi}{3}$ である。点は第2象限にあり、
$$ \left(\frac{\sqrt6}{2}\right)^4=\left(\frac32\right)^2=\frac94
$$
だから、
$$ (z_1)^4 = \frac94\left(\cos\frac{2\pi}{3}+i\sin\frac{2\pi}{3}\right)
-\frac98+\frac{9\sqrt3}{8}i
$$
である。このとき
$$ x+y=-\frac98+\frac{9\sqrt3}{8}<3
$$
なので、$D_1$ に含まれない。
**(v)**
$n=5$
偏角は $-\dfrac{5\pi}{3}$、すなわち $\dfrac{\pi}{3}$ である。また、
$$ \left(\frac{\sqrt6}{2}\right)^5 = \left(\frac{\sqrt6}{2}\right)\left(\frac32\right)^2
\frac{9\sqrt6}{8}
$$
である。したがって、
$$ \begin{aligned} (z_1)^5 &= \frac{9\sqrt6}{8}\left(\frac12+\frac{\sqrt3}{2}i\right)\\ &= \frac{9\sqrt6}{16}+\frac{27\sqrt2}{16}i \end{aligned} $$
である。
この点が $D_2$ に含まれるかを確認する。円の中心は $3$、半径は $\sqrt2$ だから、
$$ \left(x-3\right)^2+y^2\le 2
$$
を満たす必要がある。
ここで
$$ x=\frac{9\sqrt6}{16},\qquad y=\frac{27\sqrt2}{16}
$$
であるから、数値的にも $y$ が大きすぎ、円板
$$ (x-3)^2+y^2\le 2
$$
には入らない。よって $n=5$ では $D$ に含まれない。
**(vi)**
$n=6$
偏角は $-2\pi$ であり、正の実軸上にある。また、
$$ \left(\frac{\sqrt6}{2}\right)^6 = \left(\frac32\right)^3
\frac{27}{8}
$$
だから、
$$ (z_1)^6=\frac{27}{8}
$$
である。
この点について、
$$ x+y=\frac{27}{8}\ge 3
$$
であるから $D_1$ に含まれる。また、
$$ \left(\frac{27}{8}-3\right)^2+0^2 = \left(\frac38\right)^2
\frac{9}{64}\le 2
$$
より、$D_2$ にも含まれる。
したがって、
$$ (z_1)^6\in D
$$
である。
以上より、最小の自然数 $n$ は
$$ n=6
$$
である。
解説
この問題の中心は、複素数の条件を図形として読み替えることである。
$D_1$ は距離比較から半平面 $x+y\ge 3$ になる。$D_2$ は $w=2+i+\dfrac{6}{z}$ の形なので、いったん $u=w-2-i$ と置き、$z=\dfrac{6}{u}$ と逆向きに条件を移すのが自然である。この処理により、$D_2$ は中心 $3$、半径 $\sqrt2$ の円板になる。ただし $u=0$ が不可能であるため、点 $2+i$ は除かれる。
$\tan(\arg\alpha)$ の範囲は、原点を通る直線 $y=tx$ が領域 $D$ と交わる条件として考えると整理しやすい。最小値は半平面の境界と円の交点 $4-i$ で生じ、最大値は原点から円へ引いた接線で生じる。
答え
**(1)**
$$ z_1=\frac{\sqrt6}{2}\left(\cos\left(-\frac{\pi}{3}\right)+i\sin\left(-\frac{\pi}{3}\right)\right)
$$
**(2)**
$$ D_1:\ x+y\ge 3
$$
すなわち、直線 $x+y=3$ を境界とし、原点を含まない側の半平面。境界を含む。
**(3)**
$$ D_2:\ |w-3|\le \sqrt2
$$
ただし点 $2+i$ を除く。すなわち、中心 $3$、半径 $\sqrt2$ の円板から点 $2+i$ を除いた領域。
**(4)**
$$ -\frac14\le \tan(\arg\alpha)\le \sqrt{\frac27}
$$
**(5)**
$$ n=6
$$