基礎問題集
数学C 複素数平面「複素数平面(軌跡問題)」の問題29 解説
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解説
方針・初手
三角形が鋭角三角形であるための条件は、各頂点で作る2つのベクトルの内積がすべて正であることである。
複素数 $z$ を $z=x+yi$ とおき、点 $A(1)$ $B(z)$ $C(z^2)$ における角がすべて鋭角になる条件を内積で調べる。
解法1
複素数平面上で、2つの複素数 $u,v$ が表すベクトルの内積は
$$ \operatorname{Re}(u\overline{v})
$$
で表される。
まず、頂点 $A$ における角が鋭角である条件を求める。ベクトルは
$$ \overrightarrow{AB}=z-1,\qquad \overrightarrow{AC}=z^2-1
$$
である。したがって
$$ \begin{aligned} \overrightarrow{AB}\cdot \overrightarrow{AC} &=\operatorname{Re}{(z-1)\overline{(z^2-1)}} \\ &=\operatorname{Re}{(z-1)\overline{(z-1)(z+1)}} \\ &=|z-1|^2\operatorname{Re}(\overline{z+1}) \\ &=|z-1|^2(x+1). \end{aligned}
$$
よって、角 $A$ が鋭角である条件は
$$ x+1>0
$$
すなわち
$$ x>-1
$$
である。
次に、頂点 $B$ における角が鋭角である条件を求める。ベクトルは
$$ \overrightarrow{BA}=1-z,\qquad \overrightarrow{BC}=z^2-z
$$
である。したがって
$$ \begin{aligned} \overrightarrow{BA}\cdot \overrightarrow{BC} &=\operatorname{Re}{(1-z)\overline{(z^2-z)}} \\ &=\operatorname{Re}{-(z-1)\overline{z(z-1)}} \\ &=\operatorname{Re}{-\overline{z}|z-1|^2} \\ &=-x|z-1|^2. \end{aligned}
$$
よって、角 $B$ が鋭角である条件は
$$ -x>0
$$
すなわち
$$ x<0
$$
である。
最後に、頂点 $C$ における角が鋭角である条件を求める。ベクトルは
$$ \overrightarrow{CA}=1-z^2,\qquad \overrightarrow{CB}=z-z^2
$$
である。したがって
$$ \begin{aligned} \overrightarrow{CA}\cdot \overrightarrow{CB} &=\operatorname{Re}{(1-z^2)\overline{(z-z^2)}} \\ &=\operatorname{Re}{(1-z)(1+z)\overline{z(1-z)}} \\ &=|1-z|^2\operatorname{Re}{(1+z)\overline{z}} \\ &=|1-z|^2\operatorname{Re}(\overline{z}+z\overline{z}) \\ &=|1-z|^2(x+|z|^2). \end{aligned}
$$
よって、角 $C$ が鋭角である条件は
$$ x+|z|^2>0
$$
である。ここで $|z|^2=x^2+y^2$ だから、
$$ x^2+y^2+x>0
$$
となる。これは
$$ \left(x+\frac12\right)^2+y^2>\frac14
$$
と変形できる。
以上より、求める条件は
$$ -1<x<0
$$
かつ
$$ \left(x+\frac12\right)^2+y^2>\frac14
$$
である。
したがって、複素数平面上では、直線 $x=-1$ と直線 $x=0$ の間にあり、さらに中心 $-\frac12$、半径 $\frac12$ の円
$$ \left(x+\frac12\right)^2+y^2=\frac14
$$
の外側にある部分である。
境界はすべて含まない。すなわち、直線 $x=-1$、直線 $x=0$、および円周
$$ \left(x+\frac12\right)^2+y^2=\frac14
$$
は除く。
解説
この問題では、点が $1,z,z^2$ と与えられているため、辺の長さだけで処理しようとすると式が煩雑になりやすい。各角が鋭角であることを内積の正負で判定すると、因数分解
$$ z^2-1=(z-1)(z+1),\qquad z^2-z=z(z-1)
$$
が効いて、条件が簡潔に出る。
特に、3つの条件はそれぞれ
$$ x>-1,\qquad x<0,\qquad x^2+y^2+x>0
$$
に対応する。最後の条件は円の外側を表しているので、最終的な領域は「縦の帯」から「円の内部と円周」を除いた部分になる。
答え
$z=x+yi$ とすると、求める範囲は
$$ -1<x<0,\qquad \left(x+\frac12\right)^2+y^2>\frac14
$$
である。
すなわち、複素数平面上で、直線 $x=-1$ と $x=0$ の間にあり、中心 $-\frac12$、半径 $\frac12$ の円の外側にある部分である。ただし、境界はすべて含まない。