基礎問題集
数学C 複素数平面「ド・モアブルの定理」の問題16 解説
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解説
方針・初手
$\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}$ は $1$ の三乗根であるから、これを $\omega$ とおく。すると $z_k$ は常に $1,\omega,\omega^2$ のいずれかである。
したがって、$z_k=\omega^{X_k}$ と表して、指数 $X_k$ を $3$ で割った余りとして追跡すればよい。
解法1
$$ \omega=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}
$$
とおく。このとき
$$ \omega^3=1,\qquad \overline{\omega}=\omega^2,\qquad \overline{\omega^2}=\omega
$$
である。
$z_k=\omega^{X_k}$ となるように、$X_k$ を $3$ を法として考える。はじめを $X_0=0$ とみなすと、各回の操作は次のようになる。
表が出たときは $z$ に $\omega$ をかけるので、
$$ X_k\equiv X_{k-1}+1 \pmod{3}
$$
である。
裏が出たときは共役をとるので、
$$ X_k\equiv -X_{k-1}\pmod{3}
$$
である。
したがって、状態 $0,1,2$ の遷移は次のようになる。
$$ \begin{array}{c|cc} X_{k-1} & \text{表} & \text{裏} \\ \hline 0 & 1 & 0 \\ 1 & 2 & 2 \\ 2 & 0 & 1 \end{array}
$$
ここで
$$ a_n=P(X_n=0),\qquad b_n=P(X_n=1),\qquad c_n=P(X_n=2)
$$
とおく。求める確率は $a_n$ である。
上の遷移表より、
$$ \begin{aligned} a_{n+1}&=\frac{1}{2}a_n+\frac{1}{2}c_n,\\ b_{n+1}&=\frac{1}{2}a_n+\frac{1}{2}c_n,\\ c_{n+1}&=b_n \end{aligned}
$$
である。
初期状態は $X_0=0$ だから、
$$ a_0=1,\qquad b_0=0,\qquad c_0=0
$$
である。特に $n=1$ では
$$ a_1=\frac{1}{2},\qquad b_1=\frac{1}{2},\qquad c_1=0
$$
となる。
また、上の漸化式から $n\geq 1$ で $a_n=b_n$ が成り立つ。よって $n\geq 2$ において
$$ c_n=b_{n-1}=a_{n-1}
$$
である。したがって $n\geq 2$ で
$$ a_{n+1}=\frac{1}{2}(a_n+a_{n-1})
$$
を得る。
ここで
$$ a_1=\frac{1}{2},\qquad a_2=\frac{1}{4}
$$
である。漸化式
$$ a_{n+1}=\frac{1}{2}(a_n+a_{n-1})
$$
の特性方程式は
$$ r^2=\frac{1}{2}(r+1)
$$
すなわち
$$ 2r^2-r-1=0
$$
である。これを解くと
$$ r=1,\quad -\frac{1}{2}
$$
であるから、
$$ a_n=A+B\left(-\frac{1}{2}\right)^n
$$
と表せる。
初期条件を代入すると、
$$ \begin{aligned} A-\frac{1}{2}B&=\frac{1}{2},\\ A+\frac{1}{4}B&=\frac{1}{4} \end{aligned}
$$
である。これを解いて
$$ A=\frac{1}{3},\qquad B=-\frac{1}{3}
$$
を得る。
よって
$$ a_n=\frac{1}{3}-\frac{1}{3}\left(-\frac{1}{2}\right)^n
$$
である。
したがって、求める確率は
$$ \frac{1}{3}-\frac{1}{3}\left(-\frac{1}{2}\right)^n
$$
である。
解説
この問題の要点は、複素数を直接計算し続けるのではなく、$\omega=\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}$ を用いて $z_k=\omega^{X_k}$ と表し、指数 $X_k$ の変化だけを追うことである。
表が出たときは指数が $1$ 増え、裏が出たときは共役をとるため指数の符号が反転する。この処理により、複素数の問題が $0,1,2$ の3状態の確率漸化式に変わる。
特に、状態 $1$ からは表でも裏でも状態 $2$ に移る点が特徴である。ここを見落とすと、単純な二項分布の問題と誤解しやすい。
答え
$$ \boxed{\displaystyle \frac{1}{3}-\frac{1}{3}\left(-\frac{1}{2}\right)^n}
$$