基礎問題集
数学C 複素数平面「ド・モアブルの定理」の問題20 解説
数学Cの複素数平面「ド・モアブルの定理」にある問題20の基礎問題と解説ページです。問題と保存済み解説を公開し、ログイン後はAI質問と学習履歴も利用できます。
MathGrAIl の基礎問題集にある公開問題ページです。ログイン前でも問題と保存済み解説を確認でき、ログイン後はAI質問と学習履歴の保存を利用できます。
- 基礎問題の問題画像と保存済み解説を公開
- ログイン後にAI質問で復習
- ログイン後に学習履歴を保存
解説
方針・初手
$z$ は $k$ 乗すると $1$ になる複素数であり、指数の差が $k$ の倍数かどうかで値が決まる。
まず、任意の整数 $r$ について
$$ z^r=1 \Longleftrightarrow k \mid r
$$
を確認し、これを各問いに使う。
解法1
$z$ は
$$ z=\cos \frac{2\pi}{k}+i\sin \frac{2\pi}{k}
$$
であるから、ド・モアブルの定理より、任意の整数 $r$ に対して
$$ z^r=\cos \frac{2\pi r}{k}+i\sin \frac{2\pi r}{k}
$$
である。
したがって、$z^r=1$ であることは
$$ \cos \frac{2\pi r}{k}=1,\qquad \sin \frac{2\pi r}{k}=0
$$
であることと同値である。これは
$$ \frac{2\pi r}{k}=2\pi q
$$
を満たす整数 $q$ が存在することと同値である。よって
$$ r=kq
$$
となるから、
$$ z^r=1 \Longleftrightarrow k \mid r
$$
が成り立つ。
**(1)**
$m,n$ を整数とする。まず、$m-n$ が $k$ の倍数であるとする。このとき $m-n=kq$ となる整数 $q$ が存在するので、
$$ z^{m-n}=z^{kq}=(z^k)^q=1
$$
である。したがって
$$ z^m=z^n z^{m-n}=z^n
$$
となる。
逆に、$z^m=z^n$ とする。このとき
$$ z^{m-n}=1
$$
である。先に示した事実より、
$$ k \mid (m-n)
$$
である。
以上より、$m-n$ が $k$ の倍数であることは、$z^m=z^n$ となるための必要十分条件である。
**(2)**
$\ell$ と $k$ が互いに素であるとする。
$z^\ell,z^{2\ell},z^{3\ell},\ldots,z^{k\ell}$ の中に等しいものがあると仮定する。すなわち、$1\leqq a<b\leqq k$ を満たす整数 $a,b$ について
$$ z^{a\ell}=z^{b\ell}
$$
であるとする。
(1)より、
$$ k \mid (b\ell-a\ell)
$$
すなわち
$$ k \mid (b-a)\ell
$$
である。
ここで、$\ell$ と $k$ は互いに素であるから、ユークリッドの補題より
$$ k \mid (b-a)
$$
となる。
しかし、$1\leqq a<b\leqq k$ であるから
$$ 1\leqq b-a\leqq k-1
$$
である。これは $b-a$ が $k$ の倍数であることに反する。
したがって、異なる $a,b$ に対して $z^{a\ell}=z^{b\ell}$ となることはない。よって
$$ z^\ell,z^{2\ell},z^{3\ell},\ldots,z^{k\ell}
$$
はすべて異なる。
**(3)**
対偶を示す。
$k$ と $\ell$ が互いに素でないとする。このとき
$$ d=\gcd(k,\ell)>1
$$
とおける。
$k=dK,\ \ell=dL$ とおくと、$K,L$ は自然数であり、
$$ \frac{k}{d}=K
$$
である。
ここで、$d>1$ より
$$ 1+\frac{k}{d}\leqq 1+\frac{k}{2}\leqq k
$$
が成り立つ。したがって、$1$ と $1+\frac{k}{d}$ はともに $1$ 以上 $k$ 以下の異なる整数である。
この2つに対応する指数を比べると、
$$ \begin{aligned} \left(1+\frac{k}{d}\right)\ell-\ell &= \frac{k}{d}\ell\\ &= \frac{k}{d}\cdot dL\\ &= kL \end{aligned} $$
である。よって、この差は $k$ の倍数である。
(1)より、
$$ z^{\left(1+\frac{k}{d}\right)\ell}=z^\ell
$$
となる。
つまり、$z^\ell,z^{2\ell},z^{3\ell},\ldots,z^{k\ell}$ の中に等しいものが存在する。したがって、これらがすべて異なるならば、$k$ と $\ell$ は互いに素でなければならない。
以上より、$z^\ell,z^{2\ell},z^{3\ell},\ldots,z^{k\ell}$ がすべて異なるとき、$k$ と $\ell$ は互いに素である。
解説
この問題の中心は、$z$ が $1$ の $k$ 乗根であり、指数は $k$ を法として同じものを与えるという点である。
つまり、
$$ z^m=z^n
$$
となるかどうかは、指数 $m,n$ そのものではなく、差 $m-n$ が $k$ の倍数であるかどうかで決まる。
(2)では、$\ell$ と $k$ が互いに素であるため、$k\mid (b-a)\ell$ から $k\mid (b-a)$ と言えることが重要である。
(3)では、互いに素でない場合に、実際に等しくなる2つを作る。$\gcd(k,\ell)=d>1$ とすると、指数の差を $\frac{k}{d}\ell$ にすれば、これは必ず $k$ の倍数になる。これにより、異なる項なのに同じ複素数になることを示せる。
答え
**(1)**
$m-n$ が $k$ の倍数であることは、$z^m=z^n$ となるための必要十分条件である。
**(2)**
$\ell$ と $k$ が互いに素ならば、
$$ z^\ell,z^{2\ell},z^{3\ell},\ldots,z^{k\ell}
$$
はすべて異なる。
**(3)**
$$ z^\ell,z^{2\ell},z^{3\ell},\ldots,z^{k\ell}
$$
がすべて異なるならば、$k$ と $\ell$ は互いに素である。