基礎問題集
数学C 複素数平面「ド・モアブルの定理」の問題29 解説
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解説
方針・初手
$A_k$ は単位円上の $n$ 等分点であり、$A_0$ は複素数 $1$ を表す点である。したがって、距離は複素数の絶対値として扱う。
特に
$$ \mathrm{PA}_k=|x-\alpha^k|
$$
と表せることを利用し、$n$ 乗根の因数分解
$$ z^n-1=\prod_{k=0}^{n-1}(z-\alpha^k)
$$
につなげる。
解法1
**(1)**
$A_0$ は複素数 $1$ を表し、$A_k$ は複素数
$$ \alpha^k=\cos\frac{2k\pi}{n}+i\sin\frac{2k\pi}{n}
$$
を表す点である。
したがって、線分 $A_0A_k$ の長さは
$$ A_0A_k=|\alpha^k-1|
$$
である。
ここで
$$ \begin{aligned} |\alpha^k-1|^2 &=\left(\cos\frac{2k\pi}{n}-1\right)^2+\left(\sin\frac{2k\pi}{n}\right)^2 \\ &=\cos^2\frac{2k\pi}{n}-2\cos\frac{2k\pi}{n}+1+\sin^2\frac{2k\pi}{n} \\ &=2-2\cos\frac{2k\pi}{n} \\ &=4\sin^2\frac{k\pi}{n}. \end{aligned}
$$
$0\leq k\leq n-1$ より $0\leq \dfrac{k\pi}{n}<\pi$ であるから、
$$ \sin\frac{k\pi}{n}\geq 0
$$
である。よって
$$ A_0A_k=2\sin\frac{k\pi}{n}
$$
となる。
特に $k=0$ のときも、両辺とも $0$ であるから成り立つ。
**(2)**
点 $P$ は直線 $OA_0$ 上にあり、実数 $x\geq 1$ を表す点であるから、$P$ は複素数 $x$ を表す。
したがって
$$ PA_k=|x-\alpha^k|
$$
である。よって
$$ PA_0\cdot PA_1\cdots PA_{n-1} =\prod_{k=0}^{n-1}|x-\alpha^k| =\left|\prod_{k=0}^{n-1}(x-\alpha^k)\right|.
$$
$\alpha^0,\alpha^1,\ldots,\alpha^{n-1}$ は方程式 $z^n=1$ のすべての解であるから、
$$ z^n-1=\prod_{k=0}^{n-1}(z-\alpha^k)
$$
である。ここに $z=x$ を代入すると、
$$ \prod_{k=0}^{n-1}(x-\alpha^k)=x^n-1
$$
を得る。
また $x\geq 1$ であるから $x^n-1\geq 0$ である。したがって
$$ PA_0\cdot PA_1\cdots PA_{n-1}=|x^n-1|=x^n-1
$$
である。
**(3)**
(2)より、$x>1$ とすると
$$ PA_0\cdot PA_1\cdots PA_{n-1}=x^n-1
$$
である。
ここで $PA_0=x-1$ であるから、両辺を $x-1$ で割ると
$$ PA_1\cdot PA_2\cdots PA_{n-1} =\frac{x^n-1}{x-1}
$$
となる。
右辺は等比数列の和の公式より
$$ \frac{x^n-1}{x-1}=1+x+x^2+\cdots+x^{n-1}
$$
である。よって
$$ PA_1\cdot PA_2\cdots PA_{n-1} =1+x+x^2+\cdots+x^{n-1}
$$
である。
ここで $x\to 1+0$ とすると、点 $P$ は点 $A_0$ に近づく。したがって左辺は
$$ A_0A_1\cdot A_0A_2\cdots A_0A_{n-1}
$$
に近づき、右辺は
$$ 1+1+\cdots+1=n
$$
に近づく。
ゆえに
$$ A_0A_1\cdot A_0A_2\cdots A_0A_{n-1}=n
$$
である。
(1)より、$1\leq k\leq n-1$ に対して
$$ A_0A_k=2\sin\frac{k\pi}{n}
$$
であるから、
$$ \prod_{k=1}^{n-1}\left(2\sin\frac{k\pi}{n}\right)=n
$$
すなわち
$$ n=\prod_{k=1}^{n-1}\left(2\sin\frac{k\pi}{n}\right)
$$
が示された。
解説
この問題の中心は、正 $n$ 角形の頂点を複素数の $n$ 乗根として扱うことである。
(1)では、単位円上の2点間の距離を絶対値 $|\alpha^k-1|$ として計算する。角度が $\dfrac{2k\pi}{n}$ であるため、半角公式により $2\sin\dfrac{k\pi}{n}$ が現れる。
(2)では、距離の積を
$$ \prod_{k=0}^{n-1}|x-\alpha^k|
$$
と表し、$z^n-1$ の因数分解に結びつけるのが重要である。$x\geq 1$ なので、最後に絶対値を外せる。
(3)では、$x=1$ を直接代入すると $PA_0=0$ となり積全体が $0$ になってしまう。そのため、いったん $x>1$ として $PA_0=x-1$ で割り、最後に $x\to 1+0$ とする。この処理がこの問題の最も重要な点である。
答え
**(1)**
$$ A_0A_k=2\sin\frac{k\pi}{n}
$$
**(2)**
$$ PA_0\cdot PA_1\cdots PA_{n-1}=x^n-1
$$
**(3)**
$$ n=\prod_{k=1}^{n-1}\left(2\sin\frac{k\pi}{n}\right)
$$