基礎問題集
数学C 平面ベクトル「平面ベクトル」の問題48 解説
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解説
方針・初手
$\overrightarrow{AB}+\overrightarrow{BC}+\overrightarrow{CA}=\vec{0}$ を用いる。特に、ある1つの辺のベクトルを残して他の2つの和をまとめると、内積の和が辺の長さの2乗に直結する。
また、$K$ は3つの内積の和の2倍なので、ベクトルの恒等式
$$ |\overrightarrow{AB}+\overrightarrow{BC}+\overrightarrow{CA}|^2=0
$$
を展開すればよい。
解法1
簡単のため、
$$ \vec{x}=\overrightarrow{AB},\quad \vec{y}=\overrightarrow{BC},\quad \vec{z}=\overrightarrow{CA}
$$
とおく。このとき三角形を一周するベクトルの和は零ベクトルであるから、
$$ \vec{x}+\vec{y}+\vec{z}=\vec{0}
$$
である。また、
$$ |\vec{y}|=BC=a,\quad |\vec{z}|=CA=b,\quad |\vec{x}|=AB=c
$$
である。
まず、(1) を示す。
$$ \overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{BC} +\overrightarrow{BC}\cdot\overrightarrow{CA} = \vec{x}\cdot\vec{y}+\vec{y}\cdot\vec{z}
$$
である。内積の交換法則より $\vec{x}\cdot\vec{y}=\vec{y}\cdot\vec{x}$ だから、
$$ \begin{aligned} \vec{x}\cdot\vec{y}+\vec{y}\cdot\vec{z} &= \vec{y}\cdot\vec{x}+\vec{y}\cdot\vec{z}\\ &= \vec{y}\cdot(\vec{x}+\vec{z}) \end{aligned} $$
となる。ここで $\vec{x}+\vec{y}+\vec{z}=\vec{0}$ より、
$$ \vec{x}+\vec{z}=-\vec{y}
$$
である。したがって、
$$ \vec{y}\cdot(\vec{x}+\vec{z}) = \vec{y}\cdot(-\vec{y})
-|\vec{y}|^2
-a^2
$$
となる。よって、
$$ \overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{BC} +\overrightarrow{BC}\cdot\overrightarrow{CA} = -a^2
$$
が示された。
次に、(2) を示す。
$K$ の定義より、
$$ K=2(\vec{x}\cdot\vec{y}+\vec{y}\cdot\vec{z}+\vec{z}\cdot\vec{x})
$$
である。一方、
$$ \vec{x}+\vec{y}+\vec{z}=\vec{0}
$$
より、
$$ |\vec{x}+\vec{y}+\vec{z}|^2=0
$$
である。左辺を展開すると、
$$ |\vec{x}|^2+|\vec{y}|^2+|\vec{z}|^2 +2(\vec{x}\cdot\vec{y}+\vec{y}\cdot\vec{z}+\vec{z}\cdot\vec{x}) =0
$$
である。ここで $|\vec{x}|=c,\ |\vec{y}|=a,\ |\vec{z}|=b$ だから、
$$ c^2+a^2+b^2+K=0
$$
となる。したがって、
$$ K=-(a^2+b^2+c^2)
$$
である。
最後に、(3) を示す。
(2) より、
$$ 3K=-3(a^2+b^2+c^2)
$$
である。したがって、示すべき不等式
$$ 3K\le -(a+b+c)^2
$$
は、
$$ -3(a^2+b^2+c^2)\le -(a+b+c)^2
$$
と同値である。両辺に $-1$ をかけて不等号の向きを反対にすると、
$$ 3(a^2+b^2+c^2)\ge (a+b+c)^2
$$
を示せばよい。
これは
$$ (a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2\ge 0
$$
から従う。実際、
$$ \begin{aligned} (a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2 &=2(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca) \end{aligned}
$$
であるから、
$$ a^2+b^2+c^2\ge ab+bc+ca
$$
である。よって、
$$ 3(a^2+b^2+c^2)\ge a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca=(a+b+c)^2
$$
が成り立つ。したがって、
$$ 3K\le -(a+b+c)^2
$$
が示された。
等号成立条件は
$$ (a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2=0
$$
である。平方の和が $0$ になるにはそれぞれが $0$ でなければならないので、
$$ a=b=c
$$
である。したがって、等号が成立するのは、$\triangle ABC$ が正三角形のときである。
解説
この問題の中心は、三角形を一周するベクトルの和
$$ \overrightarrow{AB}+\overrightarrow{BC}+\overrightarrow{CA}=\vec{0}
$$
をどう使うかである。
(1) では、共通して現れる $\overrightarrow{BC}$ をくくると、$\overrightarrow{AB}+\overrightarrow{CA}=-\overrightarrow{BC}$ が使える。これにより内積の和が $-|\overrightarrow{BC}|^2$ になる。
(2) では、零ベクトルの長さの2乗を展開するのが最も自然である。3つの内積の和が、3辺の長さの2乗の和に変換される。
(3) は、(2) で得た $K=-(a^2+b^2+c^2)$ を使うと、辺の長さに関する基本不等式
$$ 3(a^2+b^2+c^2)\ge (a+b+c)^2
$$
に帰着する。等号成立条件まで確認すると、三角形は正三角形である。
答え
**(1)**
$$ \overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{BC} +\overrightarrow{BC}\cdot\overrightarrow{CA} = -a^2
$$
**(2)**
$$ K=-(a^2+b^2+c^2)
$$
**(3)**
$$ 3K\le -(a+b+c)^2
$$
等号が成立するのは、
$$ a=b=c
$$
すなわち $\triangle ABC$ が正三角形のときである。