基礎問題集
数学C 空間ベクトル「空間ベクトル」の問題54 解説
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解説
方針・初手
四面体の4面がすべて合同なので、まず各辺の長さを整理する。底面を平面 $L$ 上の三角形 $OAB$ とし、$\overrightarrow{OA}=\mathbf{a}$ $\overrightarrow{OB}=\mathbf{b}$ $\overrightarrow{OC}=\mathbf{c}$ とおく。
点 $C$ から平面 $L$ への射影を $H$ とすると、$\overrightarrow{OH}$ は $\mathbf{a},\mathbf{b}$ の一次結合で表せる。さらに、平面 $M$ は $L$ に垂直で、その $L$ との交線は $PQ$ であるから、断面は「$PQ$ を底辺とする垂直断面」として考える。
解法1
4面がすべて合同であり、三角形 $OAB$ の3辺は
$$ OA=3,\quad OB=\sqrt7,\quad AB=2
$$
である。よって、対応する辺の長さから
$$ OC=2,\quad AC=\sqrt7,\quad BC=3
$$
である。
$\mathbf{a}=\overrightarrow{OA}$ $\mathbf{b}=\overrightarrow{OB}$ $\mathbf{c}=\overrightarrow{OC}$ とおく。まず、
$$ |\mathbf{a}|^2=9,\quad |\mathbf{b}|^2=7,\quad |\mathbf{c}|^2=4
$$
である。また、$AB=2$ より
$$ |\mathbf{a}-\mathbf{b}|^2=4
$$
だから、
$$ 9+7-2\mathbf{a}\cdot\mathbf{b}=4
$$
より
$$ \mathbf{a}\cdot\mathbf{b}=6
$$
である。
同様に、$AC=\sqrt7$ より
$$ |\mathbf{c}-\mathbf{a}|^2=7
$$
だから、
$$ 4+9-2\mathbf{c}\cdot\mathbf{a}=7
$$
より
$$ \mathbf{c}\cdot\mathbf{a}=3
$$
である。また、$BC=3$ より
$$ |\mathbf{c}-\mathbf{b}|^2=9
$$
だから、
$$ 4+7-2\mathbf{c}\cdot\mathbf{b}=9
$$
より
$$ \mathbf{c}\cdot\mathbf{b}=1
$$
である。
**(1)**
$H$ は $C$ の平面 $L$ への射影であるから、$\overrightarrow{CH}$ は平面 $L$ に垂直である。したがって、$\overrightarrow{OH}$ は平面 $L$ 上にあり、
$$ \overrightarrow{OH}=x\mathbf{a}+y\mathbf{b}
$$
とおける。
射影の性質より、$\overrightarrow{CH}$ は $\mathbf{a},\mathbf{b}$ のどちらにも垂直である。したがって、
$$ (\mathbf{c}-\overrightarrow{OH})\cdot\mathbf{a}=0,\quad (\mathbf{c}-\overrightarrow{OH})\cdot\mathbf{b}=0
$$
である。つまり、
$$ \overrightarrow{OH}\cdot\mathbf{a}=\mathbf{c}\cdot\mathbf{a}=3,\quad \overrightarrow{OH}\cdot\mathbf{b}=\mathbf{c}\cdot\mathbf{b}=1
$$
である。
$\overrightarrow{OH}=x\mathbf{a}+y\mathbf{b}$ を代入すると、
$$ \begin{cases} 9x+6y=3,\\ 6x+7y=1 \end{cases}
$$
となる。これを解くと、
$$ x=\frac{5}{9},\quad y=-\frac{1}{3}
$$
である。よって、
$$ \overrightarrow{OH} =\frac{5}{9}\overrightarrow{OA}-\frac{1}{3}\overrightarrow{OB}
$$
である。
また、後で使うために $CH$ の長さを求めておく。射影の性質より、
$$ CH^2=OC^2-OH^2
$$
である。ここで、
$$ OH^2 =\left(\frac{5}{9}\mathbf{a}-\frac{1}{3}\mathbf{b}\right)^2 =\frac{25}{81}\cdot9-\frac{10}{27}\cdot6+\frac{1}{9}\cdot7 =\frac{4}{3}
$$
だから、
$$ CH^2=4-\frac{4}{3}=\frac{8}{3}
$$
である。したがって、
$$ CH=\frac{2\sqrt6}{3}
$$
である。
**(2)**
線分 $OA,OB$ をそれぞれ $t:1-t$ に内分するので、
$$ \overrightarrow{OP}=t\mathbf{a},\quad \overrightarrow{OQ}=t\mathbf{b}
$$
である。したがって、$PQ\parallel AB$ であり、
$$ PQ=tAB=2t
$$
である。
平面 $M$ は平面 $L$ に垂直で、$P,Q$ を通る。したがって、$M$ と $L$ の交線は直線 $PQ$ である。よって、四面体の断面を考えるには、四面体の各辺と平面 $M$ の交点を調べればよい。
点 $X$ を四面体内の点として、
$$ X=\lambda O+\mu A+\nu B+\rho C,\quad \lambda+\mu+\nu+\rho=1
$$
と表す。ただし、
$$ \lambda,\mu,\nu,\rho\geqq 0
$$
である。
点 $X$ の平面 $L$ への射影の位置ベクトルは
$$ \mu\mathbf{a}+\nu\mathbf{b}+\rho\overrightarrow{OH}
$$
である。ここで、
$$ \overrightarrow{OH} =\frac{5}{9}\mathbf{a}-\frac{1}{3}\mathbf{b}
$$
だから、射影の位置ベクトルは
$$ \left(\mu+\frac{5}{9}\rho\right)\mathbf{a} +\left(\nu-\frac{1}{3}\rho\right)\mathbf{b}
$$
である。
直線 $PQ$ 上の点は、$\mathbf{a},\mathbf{b}$ の係数の和が $t$ になる点である。したがって、$X$ が平面 $M$ 上にある条件は
$$ \left(\mu+\frac{5}{9}\rho\right) + \left(\nu-\frac{1}{3}\rho\right) =t
$$
すなわち
$$ \mu+\nu+\frac{2}{9}\rho=t
$$
である。
ここから、平面 $M$ が四面体のどの辺と交わるかを調べる。
**(i)**
$0<t<\dfrac{2}{9}$ のとき
辺 $OA$ とは $P$ で交わり、辺 $OB$ とは $Q$ で交わる。さらに、辺 $OC$ 上では $\mu=\nu=0$ であるから、
$$ \frac{2}{9}\rho=t
$$
より
$$ \rho=\frac{9t}{2}
$$
である。これは $0<t<\dfrac{2}{9}$ のとき $0<\rho<1$ を満たすので、平面 $M$ は辺 $OC$ と交わる。
その交点を $R$ とすると、$R$ の高さは
$$ \frac{9t}{2}CH
$$
である。断面は三角形 $PQR$ であるから、
$$ S(t)=\frac{1}{2}\cdot PQ\cdot \frac{9t}{2}CH
$$
である。$PQ=2t$ $CH=\dfrac{2\sqrt6}{3}$ より、
$$ S(t) =\frac{1}{2}\cdot 2t\cdot \frac{9t}{2}\cdot \frac{2\sqrt6}{3} =3\sqrt6,t^2
$$
である。
**(ii)**
$\dfrac{2}{9}\leqq t<1$ のとき
この場合、平面 $M$ は辺 $OC$ とは交わらず、辺 $AC,BC$ と交わる。
辺 $AC$ 上では、点を
$$ X=(1-\rho)A+\rho C
$$
と表せる。つまり、$\nu=0$ $\mu+\rho=1$ である。平面 $M$ 上にある条件
$$ \mu+\frac{2}{9}\rho=t
$$
に $\mu=1-\rho$ を代入すると、
$$ 1-\rho+\frac{2}{9}\rho=t
$$
より、
$$ \rho=\frac{9(1-t)}{7}
$$
である。同様に、辺 $BC$ 上の交点でも同じ $\rho$ になる。
辺 $AC,BC$ との交点をそれぞれ $U,V$ とする。このとき、$U,V$ はともに $C$ からの割合 $\rho$ が同じなので、$UV\parallel AB$ であり、
$$ UV=(1-\rho)AB=2(1-\rho)
$$
である。
また、$U,V$ の平面 $L$ からの高さは
$$ \rho CH=\frac{9(1-t)}{7}CH
$$
である。断面は台形 $PUVQ$ であり、その上下の底辺は $PQ$ と $UV$ である。よって、
$$ S(t)=\frac{PQ+UV}{2}\cdot \rho CH
$$
である。
$PQ=2t$ $UV=2(1-\rho)$ を代入すると、
$$ S(t)=\frac{2t+2(1-\rho)}{2}\cdot \rho CH =(t+1-\rho)\rho CH
$$
である。ここで、
$$ \rho=\frac{9(1-t)}{7}
$$
だから、
$$ t+1-\rho =t+1-\frac{9(1-t)}{7} =\frac{16t-2}{7} =\frac{2(8t-1)}{7}
$$
である。したがって、
$$ S(t) =\frac{2(8t-1)}{7}\cdot \frac{9(1-t)}{7}\cdot \frac{2\sqrt6}{3} =\frac{12\sqrt6}{49}(8t-1)(1-t)
$$
である。
以上より、
$$ S(t)= \begin{cases} 3\sqrt6,t^2 & \left(0<t<\dfrac{2}{9}\right),\\[6pt] \dfrac{12\sqrt6}{49}(8t-1)(1-t) & \left(\dfrac{2}{9}\leqq t<1\right) \end{cases}
$$
である。
**(3)**
まず、$0<t<\dfrac{2}{9}$ では
$$ S(t)=3\sqrt6,t^2
$$
であり、これは単調増加である。したがって、この範囲での最大値候補は $t=\dfrac{2}{9}$ での値であり、
$$ S\left(\frac{2}{9}\right) =3\sqrt6\cdot\frac{4}{81} =\frac{4\sqrt6}{27}
$$
である。
次に、$\dfrac{2}{9}\leqq t<1$ では
$$ S(t)=\frac{12\sqrt6}{49}(8t-1)(1-t)
$$
である。係数 $\dfrac{12\sqrt6}{49}$ は正なので、
$$ (8t-1)(1-t)
$$
を最大にすればよい。
展開すると、
$$ (8t-1)(1-t) =-8t^2+9t-1
$$
である。これは上に凸の2次関数であり、頂点は
$$ t=\frac{-9}{2(-8)}=\frac{9}{16}
$$
である。これは
$$ \frac{2}{9}<\frac{9}{16}<1
$$
を満たす。
よって、最大値は $t=\dfrac{9}{16}$ のときである。このとき、
$$ (8t-1)(1-t) = \left(8\cdot\frac{9}{16}-1\right) \begin{aligned} \left(1-\frac{9}{16}\right) &= \frac{7}{2}\cdot\frac{7}{16}\\ &= \frac{49}{32} \end{aligned} $$
である。したがって、
$$ \begin{aligned} S(t)_{\max} &= \frac{12\sqrt6}{49}\cdot\frac{49}{32}\\ &= \frac{3\sqrt6}{8} \end{aligned} $$
である。
解説
この問題の中心は、$C$ の射影 $H$ が三角形 $OAB$ の外側にある点であることを正しく扱う点である。$\overrightarrow{OH}$ の係数が
$$ \frac{5}{9},\quad -\frac{1}{3}
$$
となり、$\overrightarrow{OB}$ の係数が負になるため、断面の形は途中で変化する。
特に、平面 $M$ が辺 $OC$ と交わるのは $0<t<\dfrac{2}{9}$ のときであり、それ以降は辺 $AC,BC$ と交わる。この境目を見落とすと、$S(t)$ を1つの式だけで処理してしまい、最大値を誤る。
断面は、前半では三角形、後半では台形である。平面 $M$ は平面 $L$ に垂直なので、断面の面積は「$PQ$ 方向の長さ」と「平面 $L$ からの高さ」を使って計算できる。
答え
**(1)**
$$ \overrightarrow{OH} = \frac{5}{9}\overrightarrow{OA} -\frac{1}{3}\overrightarrow{OB}
$$
**(2)**
$$ S(t)= \begin{cases} 3\sqrt6,t^2 & \left(0<t<\dfrac{2}{9}\right),\\[6pt] \dfrac{12\sqrt6}{49}(8t-1)(1-t) & \left(\dfrac{2}{9}\leqq t<1\right) \end{cases}
$$
**(3)**
$$ t=\frac{9}{16}
$$
のとき最大であり、最大値は
$$ \frac{3\sqrt6}{8}
$$