基礎問題集
数学C 空間ベクトル「空間ベクトル」の問題85 解説
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解説
方針・初手
(1) は $|\vec p|<t$ という条件を使うため、$\vec b=\dfrac{\vec p}{t}$ とおいて $|\vec b|<1$ に直す。すると示すべき不等式は、$\vec a$ を $\vec b$ に平行な成分と垂直な成分に分けることで平方和に帰着できる。
(2) は (1) に
$$ \vec a=\left(\frac12,\frac14,\frac14\right),\qquad \vec p=(x,y,z)
$$
を代入する問題である。
解法1
まず (1) を示す。
$t>0$ より
$$ \vec b=\frac{\vec p}{t}
$$
とおくと、$|\vec p|<t$ から $|\vec b|<1$ である。また、示すべき不等式は両辺を $t^2$ で割って
$$ (\vec a\cdot \vec b-1)^2\geq (1-|\vec a|^2)(1-|\vec b|^2)
$$
を示せばよい。
$\vec b=\vec 0$ のときは、
$$ 1\geq 1-|\vec a|^2
$$
であり、これは $|\vec a|^2\geq 0$ から成り立つ。等号は $|\vec a|=0$、すなわち $\vec a=\vec 0$ のときである。このとき $\vec p=\vec 0=t\vec a$ である。
以下、$\vec b\neq \vec 0$ とする。$\vec a$ を $\vec b$ に平行な成分と垂直な成分に分ける。すなわち、$\vec b$ と同じ向きの単位ベクトルを $\vec e$ とし、
$$ \vec b=r\vec e\qquad (0<r<1)
$$
とおく。また、
$$ \vec a=s\vec e+\vec u,\qquad \vec u\cdot \vec e=0
$$
と表す。このとき
$$ \vec a\cdot \vec b=rs,\qquad |\vec a|^2=s^2+|\vec u|^2,\qquad |\vec b|^2=r^2
$$
である。
したがって、左辺から右辺を引くと
$$ \begin{aligned} &(\vec a\cdot \vec b-1)^2-(1-|\vec a|^2)(1-|\vec b|^2)\\ &=(rs-1)^2-{1-(s^2+|\vec u|^2)}(1-r^2)\\ &=r^2s^2-2rs+1-(1-r^2-s^2-|\vec u|^2+r^2s^2+r^2|\vec u|^2)\\ &=s^2-2rs+r^2+|\vec u|^2(1-r^2)\\ &=(s-r)^2+|\vec u|^2(1-r^2). \end{aligned}
$$
ここで $0<r<1$ だから $1-r^2>0$ である。よって
$$ (s-r)^2+|\vec u|^2(1-r^2)\geq 0
$$
となり、不等式は成り立つ。
等号が成り立つのは
$$ (s-r)^2=0,\qquad |\vec u|^2(1-r^2)=0
$$
が同時に成り立つときである。$1-r^2>0$ だから、これは
$$ s=r,\qquad \vec u=\vec 0
$$
と同値である。したがって
$$ \vec a=s\vec e=r\vec e=\vec b
$$
である。
つまり
$$ \vec a=\frac{\vec p}{t}
$$
であり、
$$ \vec p=t\vec a
$$
である。逆に $\vec p=t\vec a$ なら $\vec b=\vec a$ であり、上の式で等号が成り立つ。
よって等号成立は $\vec p=t\vec a$ のときに限る。
次に (2) を解く。
条件
$$ x^2+y^2+z^2+1=t^2
$$
より、
$$ \vec p=(x,y,z)
$$
とおくと
$$ |\vec p|^2=x^2+y^2+z^2=t^2-1
$$
である。したがって $t>0$ かつ $|\vec p|<t$ が成り立つ。
ここで
$$ \vec a=\left(\frac12,\frac14,\frac14\right)
$$
とおくと、
$$ \vec a\cdot \vec p=\frac{x}{2}+\frac{y}{4}+\frac{z}{4}
$$
である。また、
$$ |\vec a|^2=\left(\frac12\right)^2+\left(\frac14\right)^2+\left(\frac14\right)^2 =\frac14+\frac1{16}+\frac1{16} =\frac38
$$
である。
(1) より、
$$ \left(\frac{x}{2}+\frac{y}{4}+\frac{z}{4}-t\right)^2 \geq \left(1-\frac38\right)(t^2-|\vec p|^2)
$$
である。条件から
$$ t^2-|\vec p|^2=1
$$
だから、
$$ \left(\frac{x}{2}+\frac{y}{4}+\frac{z}{4}-t\right)^2 \geq \frac58
$$
を得る。
等号成立条件は (1) より
$$ \vec p=t\vec a
$$
である。すなわち
$$ x=\frac{t}{2},\qquad y=\frac{t}{4},\qquad z=\frac{t}{4}
$$
である。
これを条件式に代入すると、
$$ \left(\frac{t}{2}\right)^2+\left(\frac{t}{4}\right)^2+\left(\frac{t}{4}\right)^2+1=t^2
$$
より
$$ \frac{t^2}{4}+\frac{t^2}{16}+\frac{t^2}{16}+1=t^2
$$
である。したがって
$$ \frac{3}{8}t^2+1=t^2
$$
となるので、
$$ \frac58t^2=1
$$
より
$$ t^2=\frac85
$$
である。$t>0$ だから
$$ t=\sqrt{\frac85}
$$
である。
このとき
$$ x=\frac12\sqrt{\frac85},\qquad y=\frac14\sqrt{\frac85},\qquad z=\frac14\sqrt{\frac85}
$$
であり、すべて正であるから条件を満たす。したがって最小値は実際に達成される。
解説
(1) は一見するとコーシー・シュワルツの不等式に見えるが、そのままでは等号条件まできれいに出しにくい。$\vec p/t$ を新しいベクトルとして、$\vec a$ をその方向と垂直方向に分解するのが最も自然である。
(2) は (1) の不等式を使うために、一次式
$$ \frac{x}{2}+\frac{y}{4}+\frac{z}{4}
$$
を内積と見ることが重要である。条件式の
$$ x^2+y^2+z^2+1=t^2
$$
は、ちょうど
$$ t^2-|\vec p|^2=1
$$
を意味しているため、(1) をそのまま適用できる。
答え
**(1)**
$$ (\vec a\cdot \vec p-t)^2\geq (1-|\vec a|^2)(t^2-|\vec p|^2)
$$
が成り立つ。等号が成り立つのは
$$ \vec p=t\vec a
$$
のときに限る。
**(2)**
$$ \left(\frac{x}{2}+\frac{y}{4}+\frac{z}{4}-t\right)^2
$$
の最小値は
$$ \frac58
$$
であり、そのとき
$$ t=\sqrt{\frac85}
$$
である。