はじめに

二次関数のグラフでは、式を見て「頂点はどこか」「軸はどの直線か」「上に開くのか、下に開くのか」を判断する必要があります。

ただし、数学Ⅰで重要なのは、方眼紙にすべての点を正確に打つことではありません。問題を解くために必要な概形を描けることです。

この記事では、二次関数の式からグラフへ落とす手順を、次の5ステップで整理します。

  1. 平方完成する
  2. 頂点を読む
  3. 軸を引く
  4. 上に凸・下に凸を判断する
  5. \( y \) 切片など追加の点を取って曲線を描く

平方完成そのものの詳しい計算は、平方完成のやり方で扱います。この記事では、平方完成した式をどうグラフに反映するかに重点を置きます。

基本事項

二次関数のグラフを描くときは、次の形を基準にします。

\[ y=a(x-p)^2+q \]

この形になっていると、グラフの重要な情報を読み取りやすくなります。

見る場所 読み取れること
\( p \) 頂点の \( x \) 座標
\( q \) 頂点の \( y \) 座標
\( x=p \) 軸の方程式
\( a \) の符号 上に凸・下に凸
\( x=0 \) のときの \( y \) \( y \) 切片

たとえば、

\[ y=(x-2)^2-3 \]

であれば、頂点は \( (2,-3) \)、軸は \( x=2 \) です。

ここで注意すべき点は、\( (x-2)^2 \) を見て頂点の \( x \) 座標を \( -2 \) としないことです。頂点の \( x \) 座標は、カッコの中が \( 0 \) になる \( x \) の値です。

\[ x-2=0 \]

より、\( x=2 \) です。したがって、\( (x-2)^2 \) のときの頂点の \( x \) 座標は \( 2 \) になります。

また、グラフの向きは \( a \) の符号で決まります。

\( a \) の符号 グラフの向き 頂点の意味
\( a>0 \) 下に凸 最も低い点
\( a<0 \) 上に凸 最も高い点

二次関数のグラフを描くときは、頂点だけでは不十分です。頂点に加えて、\( y \) 切片などの通る点を少なくとも1つ確認すると、概形を安定して描けます。

\( y \) 切片は、\( x=0 \) を代入して求めます。これは、グラフが \( y \) 軸と交わる点です。

解法の判断基準

二次関数のグラフを描くときは、次の5ステップで進めます。

ステップ1:平方完成する

一般形

\[ y=ax^2+bx+c \]

のままでは、頂点や軸を読み取りにくいです。そのため、まず

\[ y=a(x-p)^2+q \]

の形に直します。

平方完成の計算に不安がある場合は、先に平方完成のやり方を確認してください。

この記事では、平方完成した後に、どの情報をグラフに反映するかを中心に見ます。

ステップ2:頂点を読む

平方完成して

\[ y=a(x-p)^2+q \]

となったら、頂点は

\[ (p,q) \]

です。

ただし、符号ミスに注意します。頂点の \( x \) 座標は、カッコの中が \( 0 \) になる値です。

たとえば、

\[ y=-2(x+1)^2+5 \]

なら、カッコの中は \( x+1 \) です。

\[ x+1=0 \]

より、\( x=-1 \) です。したがって、頂点は \( (-1,5) \) になります。

ステップ3:軸を引く

二次関数のグラフは、頂点を通る縦の直線を軸として左右対称です。

頂点が \( (p,q) \) のとき、軸は

\[ x=p \]

です。

たとえば、頂点が \( (2,-3) \) なら、軸は

\[ x=2 \]

です。

グラフを描くときは、頂点を打った後、その点を通る縦の直線を意識します。この軸を基準に、左右対称な放物線を描きます。

ステップ4:上に凸・下に凸を判断する

グラフの向きは、\( x^2 \) の係数で判断します。

\[ y=a(x-p)^2+q \]

において、\( a>0 \) なら下に凸、\( a<0 \) なら上に凸です。

ここでいう「下に凸」とは、グラフが下側にふくらみ、頂点が最も低い点になる形です。反対に「上に凸」とは、グラフが上側にふくらみ、頂点が最も高い点になる形です。

平方完成後の式だけでなく、元の式の \( x^2 \) の係数も確認すると、向きの見落としを防げます。

ステップ5:\( y \) 切片など追加の点を取って曲線を描く

頂点と軸だけでは、放物線の位置は分かっても、どの点を通るかがまだ不十分です。

そこで、\( x=0 \) を代入して \( y \) 切片を求めます。

\( y \) 切片は、グラフが \( y \) 軸と交わる点です。座標は

\[ (0,\ y\text{ の値}) \]

になります。

頂点、軸、向き、\( y \) 切片を確認したら、次の順番でグラフを描きます。

  1. 座標平面に頂点を打つ
  2. 頂点を通る軸を縦に引く
  3. 上に凸か下に凸かを確認する
  4. \( y \) 切片を打つ
  5. 軸に対して左右対称になるように曲線を描く

問題を解くための概形では、この流れを再現できることが重要です。

例題

例題1:\( y=x^2-4x+1 \) のグラフ

問題

次の二次関数のグラフを描き、頂点の座標と軸の方程式を求めなさい。

\[ y=x^2-4x+1 \]

方針

まず平方完成して、頂点を読み取りやすい形にします。その後、頂点、軸、向き、\( y \) 切片を順番に確認します。

この問題では \( x^2 \) の係数が正なので、グラフは下に凸です。

解答

平方完成します。

\[ \begin{aligned} y&=x^2-4x+1\\ &=(x^2-4x+4)-4+1\\ &=(x-2)^2-3 \end{aligned} \]

したがって、

\[ y=(x-2)^2-3 \]

です。

カッコの中が \( 0 \) になる \( x \) を見ます。

\[ x-2=0 \]

より、

\[ x=2 \]

です。

よって、頂点は

\[ (2,-3) \]

です。

軸は、頂点を通る縦の直線なので、

\[ x=2 \]

です。

次に、グラフの向きを確認します。\( x^2 \) の係数は \( 1 \) で正なので、グラフは下に凸です。

最後に、\( y \) 切片を求めます。\( x=0 \) を代入すると、

\[ y=0^2-4\cdot 0+1=1 \]

です。

したがって、\( y \) 切片は

\[ (0,1) \]

です。

以上より、このグラフは次の情報をもとに描けます。

確認するもの 結果
頂点 \( (2,-3) \)
\( x=2 \)
向き 下に凸
\( y \) 切片 \( (0,1) \)

グラフを描くときは、まず \( (2,-3) \) に頂点を打ち、軸 \( x=2 \) を意識します。次に、\( (0,1) \) を通るように、軸に対して左右対称な下に凸の放物線を描きます。

確認

頂点 \( (2,-3) \) は、式

\[ y=(x-2)^2-3 \]

から直接読み取れます。また、\( (0,1) \) は元の式に \( x=0 \) を代入して得られる点なので、グラフが通る点として正しいです。

さらに、\( x^2 \) の係数が正なので、下に凸ということも条件に合っています。

例題2:\( y=-2x^2-4x+3 \) のグラフ

問題

次の二次関数のグラフを描き、頂点の座標と軸の方程式を求めなさい。

\[ y=-2x^2-4x+3 \]

方針

この問題では、\( x^2 \) の係数が \( -2 \) です。したがって、グラフは上に凸です。

また、平方完成するときは、\( x^2 \) と \( x \) の項から \( -2 \) をくくる必要があります。ただし、この記事の主題は平方完成の計算そのものではなく、完成後の式をグラフに落とすことです。

解答

平方完成します。

\[ \begin{aligned} y&=-2x^2-4x+3\\ &=-2(x^2+2x)+3\\ &=-2\left\{(x+1)^2-1\right\}+3\\ &=-2(x+1)^2+2+3\\ &=-2(x+1)^2+5 \end{aligned} \]

したがって、

\[ y=-2(x+1)^2+5 \]

です。

カッコの中が \( 0 \) になる \( x \) を見ます。

\[ x+1=0 \]

より、

\[ x=-1 \]

です。

よって、頂点は

\[ (-1,5) \]

です。

軸は、頂点を通る縦の直線なので、

\[ x=-1 \]

です。

次に、グラフの向きを確認します。\( x^2 \) の係数は \( -2 \) で負なので、グラフは上に凸です。

最後に、\( y \) 切片を求めます。\( x=0 \) を代入すると、

\[ y=-2\cdot 0^2-4\cdot 0+3=3 \]

です。

したがって、\( y \) 切片は

\[ (0,3) \]

です。

以上より、このグラフは次の情報をもとに描けます。

確認するもの 結果
頂点 \( (-1,5) \)
\( x=-1 \)
向き 上に凸
\( y \) 切片 \( (0,3) \)

グラフを描くときは、まず \( (-1,5) \) に頂点を打ちます。次に、軸 \( x=-1 \) を意識し、\( (0,3) \) を通るように上に凸の放物線を描きます。

このとき、軸 \( x=-1 \) に対して左右対称になるので、\( (0,3) \) と対称な点は \( (-2,3) \) です。必要に応じて、この点も打つと概形が描きやすくなります。

確認

\[ y=-2(x+1)^2+5 \]

から、頂点が \( (-1,5) \) と確認できます。

また、\( x=0 \) のとき \( y=3 \) なので、\( y \) 切片は \( (0,3) \) です。元の式の \( x^2 \) の係数は負なので、グラフが上に凸ということも条件に合っています。

ここまでの例題が理解できたら、次は実際に自分で式から頂点・軸・向き・\( y \) 切片を確認する練習が必要です。MathGrAIlでは、記事で確認した手順を使って二次関数の基礎問題を解き、AI添削で計算ミスや読み取りミスを確認できます。

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よくあるミス

ミス1:頂点の \( x \) 座標の符号を逆にする

よくあるミスは、

\[ y=(x-2)^2-3 \]

を見て、頂点の \( x \) 座標を \( -2 \) としてしまうことです。

このミスは、\( y=a(x-p)^2+q \) の形を丸暗記し、カッコの中の意味を確認していないと起きます。

正しい判断基準は、「カッコの中が \( 0 \) になる \( x \) を見る」です。

\[ x-2=0 \]

より、\( x=2 \) です。したがって、頂点は \( (2,-3) \) です。

同じように、

\[ y=-2(x+1)^2+5 \]

なら、

\[ x+1=0 \]

より、頂点の \( x \) 座標は \( -1 \) です。

ミス2:上に凸・下に凸を逆にする

二次関数のグラフの向きは、\( x^2 \) の係数で決まります。

\( y=x^2-4x+1 \) のように、\( x^2 \) の係数が正なら下に凸です。一方、\( y=-2x^2-4x+3 \) のように、\( x^2 \) の係数が負なら上に凸です。

このミスは、平方完成の計算に集中しすぎて、係数の符号を見落とすと起きます。

正しい判断基準は、グラフを描く前に必ず \( x^2 \) の係数の符号を見ることです。

\( x^2 \) の係数 グラフ
下に凸
上に凸

ミス3:頂点だけを打って曲線を描く

頂点だけを打って、あとは感覚で放物線を描くと、グラフが本来通るべき点からずれることがあります。

このミスは、「頂点が分かればグラフは描ける」と考えてしまうことが原因です。

正しい判断基準は、頂点に加えて、少なくとももう1つ通る点を確認することです。基本的には、\( x=0 \) を代入して \( y \) 切片を求めます。

たとえば、

\[ y=x^2-4x+1 \]

では、\( x=0 \) を代入して

\[ y=1 \]

となるので、\( y \) 切片は \( (0,1) \) です。この点を通るように描くことで、概形が安定します。

ミス4:軸の方程式を書き忘れる

グラフの曲線を描けても、軸の方程式を書き忘れると、問題の指示に答えきれていない場合があります。

軸は、放物線の左右対称の中心になる縦の直線です。頂点が \( (p,q) \) のとき、軸は

\[ x=p \]

です。

たとえば、頂点が \( (-1,5) \) なら、軸は

\[ x=-1 \]

です。

正しい判断基準は、頂点を求めたら、その \( x \) 座標を使ってすぐに軸を書くことです。

ミス5:\( y \) 切片を平方完成後の式から読み間違える

平方完成後の式を見て、定数項をそのまま \( y \) 切片だと思ってしまうミスがあります。

たとえば、

\[ y=(x-2)^2-3 \]

を見て、\( y \) 切片を \( (0,-3) \) とするのは誤りです。\( -3 \) は頂点の \( y \) 座標であり、\( y \) 切片ではありません。

\( y \) 切片は、必ず \( x=0 \) を代入して求めます。

\[ y=(0-2)^2-3=4-3=1 \]

したがって、\( y \) 切片は \( (0,1) \) です。

類題演習への接続

二次関数のグラフを描けるようにするには、次の順番で演習するのが効果的です。

  1. 平方完成して、頂点と軸を求める問題
  2. 頂点・軸・向き・\( y \) 切片を確認する問題
  3. 与えられた二次関数の概形を描く問題
  4. グラフを使って最大値・最小値を考える問題

この記事で扱った内容は、まず二次関数の基本問題で練習するのが適しています。特に、式から頂点と軸を読み取る問題、上に凸・下に凸を判断する問題、\( y \) 切片を使って概形を描く問題を優先するとよいです。

MathGrAIlのAI演習では、自分で解いた答案に対して、計算ミス、符号ミス、軸の書き忘れなどをAI添削で確認できます。

グラフの描き方は、読んだだけでは定着しにくい分野です。記事で手順を確認した後は、実際に手を動かして、同じ5ステップを再現できるか確認してください。

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まとめ

二次関数のグラフを描く目的は、問題を解くための概形を素早く正確に把握することです。

グラフを描くときは、次の5ステップで進めます。

  1. 平方完成する
  2. 頂点を読む
  3. 軸を引く
  4. 上に凸・下に凸を判断する
  5. \( y \) 切片など追加の点を取って曲線を描く

特に重要なのは、頂点、軸、向き、\( y \) 切片の4つです。

\[ y=a(x-p)^2+q \]

の形に直せば、頂点は \( (p,q) \)、軸は \( x=p \) と読み取れます。ただし、頂点の \( x \) 座標は、カッコの中が \( 0 \) になる値を見ることが大切です。

二次関数のグラフが描けるようになると、最大値・最小値の問題にもつなげやすくなります。詳しい考え方は、二次関数の最大値・最小値の求め方で確認できます。

まずは、平方完成から頂点・軸・向き・\( y \) 切片を確認する基本問題を繰り返し、グラフの概形を安定して描けるようにしてください。MathGrAIlでは、記事で理解した内容を使って演習し、AI添削でミスの原因を確認できます。

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